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家電大手・ハイアール、ブラック企業として報じられた理由とは?

中国家電大手のハイアールは1984年の創業以来、成長を続け2017年時点で従業員数が世界全体で7.3万人、売上が2兆5千億円となりました。全世界の家電製品の10%をハイアールが製造していると言われています。日本でも量販店で“Haier”ブランドが売られているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。

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世界的企業となったハイアールですが、中国メディアではハイアールにブラック企業疑惑が持ち上がっていることを報じています。事件は今月6日に起こりました。ハイアールはこの日、会社の規定に違反し、労働時間中に睡眠をとっていた4名の工場作業員に対し、労働契約を打ち切ったことを発表しました。ハイアール側によると、作業員たちは昼11:30~13:00の間の任意の30分間に昼食を済ませることになっていたにも関わらず、4名の作業員は時間を超え睡眠を取っていたと説明しています。しかし、中国メディアによれば、食堂は多くの作業員が利用するため数十分並ぶ必要があり、その上、作業場には数分前に戻らなくてはいけないため、実際に昼食と取る時間は7分程度しかなかったことを報じています。


さらに、これまでハイアールは低賃金で時間外労働を長時間行わせていたという事実も明るみになり、メディアや世論は「今回の従業員たちはあまりの疲れで寝てしまい、その罰が解雇というのはやりすぎではないのか」とハイアールの対応に批判が集まっているのです。今回の事件を受け、ハイアールの従業員だったというネットユーザーは、一日あたり15時間の長時間労働を課し、月給は4500元(約72000円)だったことを明かしています。これは、中国の大学生初任給とほとんど同じ額です。


ハイアールは2016年にも、事件を起こしています。当時従業員だった女性従業員が流産してしまったため、会社側に療養のため休暇を申し出たところ、会社側に拒否された上、無断欠勤として処理されました。その後、女性を解雇するという暴挙に出たのです。裁判では、ハイアール側の敗訴が確定し女性に賠償金が支払われました。こうした事件を過去に起こしているにも関わらず、ハイアールの従業員に対する非人道的な対応に、現在大きな批判が集まっています。ハイアールは現在まで、今回の事件について沈黙を守っています。世界的企業のブラックな労働環境については、これだけではありません。


今日、新型iPhoneの発表があり世界的に注目が集まるアップルですが、実は先月、中国国内の製造工場で、労働法に違反する行為が確認されたばかりでした。鄭州市にある製造工場では労働法に定められた「臨時工員は10%のみ」という規定を大きく超え、半数の50%が臨時工員だったのです。アップル社は、製造下請けのフォックスコン側と話し合い是正していくとしていますが、過去には長時間労働に追い詰められた工員の自殺が相次ぐなど、労働環境の改善を行っていた矢先のことだったのです。

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iPhone工場での自殺を報じるメディア》


ブラック企業のイメージがすっかり付いてしまったハイアール、一度失った信用を取り戻すことは出来るのでしょうか。