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中国で国家公務員試験の出願開始、受験資格に大きな変化も

中国では今週、2020年度の国家公務員試験の出願要綱が公開され、出願もスタートしました。中国は大学進学率が50%前後まで上昇しており、大学生の大企業志向が進む一方、安定志向の学生も多く、国家公務員の試験倍率は150倍とも言われています。そんな中、来年度の国家公務員試験に関わる規定が大きく変わったとして話題を集めています。
 


そんな改定の一つが受験制限の導入です。共産党の党員資格を取り消された者、公務員の職を懲戒処分となった者などには受験資格が与えられないことになったのです。中でも《失信連合懲罰》を受けた者に対する受験資格剥奪は大きな注目を集めました。
 
《失信連合懲罰》は、今年から始まった取り組みで、公安部などの部門が個人の信用情報を共有し、その情報に基づき罰則を与えるものです。ここで言う信用情報とは、国の社会保障費などを騙し取ったり、養育費を支払わないといった類の情報です。つまり、過去に犯罪を犯したり養育費を支払わなかったりするような違法行為や不正行為をした者には、公務員試験の受験を認めないという方針を採ったのです。さらに今年は、筆記試験や面接試験に加え、心理テストも受けなけれならなくなりました。こうした改正は、公務員として品行方正な人材を採用するための措置と見られています。
 
その背景には習近平政権が就任直後から推し進めてきた公務員改革があります。ご存知のように、中国では以前から公務員による汚職事件が頻発しており、習近平政権は就任直後から「トラもハエも叩く」というスローガンのもと、公務員や官僚、ときには周永康ら政権幹部まで取り締まってきました。今回、公務員試験の受験資格を厳しくしたのも、ひとえに潜在的汚職公務員となる可能性のある人材を排除したいという思惑があるからでしょう。