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体罰教師が生徒を半身付随に、中国で巨額の賠償裁判

今年5月、市立尼崎高校男子バレーボール部で男性臨時講師が部員を平手打ちし耳の鼓膜を破るなどのけがをさせていたことが明らかになりました。これを受け、兵庫県尼崎市教育委員が小中高生にアンケート調査を行ったところ、全体の1.8%に当たる340人が「体罰を受けたことがある」と答え、問題の根深さが浮き彫りとなると結果になりました。
 
こうした状況は中国でも変わりありません。教師による体罰で障害を負う生徒までいるのです。そんな中、体罰で障害を負った生徒の両親が、教育部(日本の文科省に相当)を訴える裁判を起こした事件がメディアで報じられました。
 
 


 
事件は2016年9月26日、中国江西省の小学校で起こりました。この学校の3年生のクラスでは、朗読の授業で読み間違えをすると罰として20回(女子児童は10回)の腕立て伏せを与えるという体罰行為が習慣化していました。
 
この日、朗読のレベルが教師の要求に達していなかったという理由で腕立て伏せを命じられた被害者の女子児童。腕立て伏せの最中、腰に強い痛みを覚えたことから病院に搬送されましたが、検査の結果、なんと脊髄損傷という診断結果が下され、半身不随となってしまったのです。
 
小学校6年生となったこの女子児童は今も両親の付き添いの下、車椅子で登校しており、治療費は20万元(約320万円)を超えたといいます。この多額な治療費は家族にとって大きな負担となってきましたが、学校と地元教育委員会がこれまでに治療費として支払った額はわずか6万元(約96万円)でした。
 
そこで児童の両親は、体罰による障害の損害賠償および今後にかかる治療費として教育部に対し708万元(約1億1千万円)の賠償金を求める裁判を起こしたのです。教育部側はすでに責任を認めており、判決に従う旨を明らかにしています。
 
日本でも中国でも体罰による障害事故、死亡事故、自殺など悲惨な出来事が頻発しています。体罰は暴行罪、傷害罪という刑事事件であるという認識を教師も社会も強く認識しなければなりません。暴力という方法でしか教育できない教育者は教諭ではなくただの犯罪者であるのです。中国の体罰関連の裁判の中では、請求する賠償金額が過去最高となった今回の裁判ですが、これをきっかけに体罰と言う名の犯罪行為が教育の場で繰り返されないことを願うばかりです。