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香港で第二次移住ブームが加速か

香港で今月24日、区議会選挙が行われ、これまで多くの議席を占めていた親中派候補が次々と落選。結果的に民主派(中立派含む)が大躍進することとなり、全議席452議席中、390議席を獲得しました。香港トップの林鄭月娥行政長官は今回の選挙結果を受け記者会見を開き、市民の声に耳を傾けなければならないとする一方、これまでデモ隊が要求してきた警察の暴力行為を調べる独立調査委員会の設置や普通選挙の実施については、その可能性を否定しました。
 
そんな中、香港市民の間では海外への脱出を現実的に考え始める人々も増えているようです。香港現地メディア・香港商報はこのほど、香港中文大学が10月に香港市民に行ったアンケート調査について報じました。記事によると、アンケート調査に答えた香港市民のうち、42%が「香港から海外への移住を考えている」と答えていることが分かりました。特に、医者や弁護士、投資家などの専門職に就いている人や、中流階級以上の経済的に余裕がある人に移住希望者が多いのが特徴です。
 
当然、その背景に、近年香港で深刻化する不動産価格の急騰に加え、デモ隊と警察隊の衝突による治安の悪化、香港社会が中国に飲み込まれるのではないかという警戒感の高まりがあること言うまでもありません。
 


《香港現地の市街地の様子》
 
実は1997年、イギリスから中国に返還される直前にも、香港市民の中に欧米やカナダ、オーストラリアなどに移住したり、その国の永住権を取得する人が多数現れました。またこの時代は、自分の子供をその国の学校に留学させる親たちも少なくありませんでした。中国に返還された後、香港が将来どうなるか分からなかったため、香港の人々は海外移住という保険をかけていたのです。香港返還前の様子については、小説「深夜特急(沢木耕太郎さん)」のドラマ版などでご存じの方も多いでしょう。
 
その香港では今、今回のデモをきっかけに、第二次移住ブームが始まろうとしています。グルメやショッピングなど観光地としても、また世界的な国際金融都市としても世界経済を支えていた香港。その香港が姿を変えようとしているのでしょうか。今回の区議会選挙の結果が香港の明るい未来のきっかけとなればよいのですが。