中国で時速600キロのリニアが運行開始、不安の声も
2015年、JR東海は超電導リニアの「高速域走行試験」を行い、時速600キロでの走行に成功しました。報道によれば、正式な開業予定は2027年。通常は時速500キロで運行していくといいます。一方、世界最速のリニア運行を目指していた中国では、ついに時速600キロのリニアモーターカーが正式に運行されることとなりました。
《今回運行されるリニアモーターカー》
今月5日、中国杭州市で世界最速で運行される国産リニアモーターカーの公開展示が行われ、多くのメディアがその様子を報じました。このリニアモーターカーによって、これまで最速だった高速鉄道の記録を大幅に上回り、これまで50分かかっていた上海-杭州間がわずか20分に短縮されることになったのです。これは、東京-大阪間なら、ちょうど1時間で到達できる速さです。
中国はこれまで世界最速記録を目指し、日本やアメリカ、ドイツなどから新幹線などの製造技術を学んできました。実際、現在中国国内で運行されている高速鉄道の多くは、日本などから技術提供されたものなのです。
中国はこの数年でハイテク革命が進み、スマホやドローン、AI技術などIT産業が大きく成長。国産のオリジナル技術で世界を席巻するようになりました。当然、こうした流れはリニアや高速鉄道などにも波及し、国産のオリジナルリニア・高速鉄道の製造が目標となっていたのです。
そして海外の技術を大いに吸収した中国は、2015年頃から高速鉄道で日本と争うまでとなり、インドネシアなど、東南アジア諸国にも輸出するようになりました。しかし、世界で不安視されているのが、その技術開発の裏で起こる重大な鉄道事故です。
2011年には中国温州市で高速鉄道が衝突脱線事故を起こし、40名が死亡。さらに生存者不明なまま、車両が地中に埋められるという信じられない対応が行われました。当時の温家宝首相も、鉄道当局の対応を批判し安全の最優先を呼び掛けたほどです。
今回、世界最速をアピールし、運行が始まった中国の高速リニアですが、やはりその安全性には大きな懸念の声が寄せられています。世界最速のリニアモーターカーの運行は、技術大国・中国を世界にアピールする絶好の機会となった訳ですが、その技術は必ず安全性が担保されたものでなければなりません。
今の中国を見ていると、上海での列車事故の真相も究明されぬまま、技術開発優先で突き進んでいる感じが否めません。皆さんはこうした中国の状況をどのように思われるでしょうか。