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中国でまたしても医師が封殺されたか

昨年末、新型コロナウイルスの存在やその危険性にいち早く気が付きSNなどで警告を発し、その後亡くなった中国人医師・李文亮さんについては以前このブログでも取り上げてきました。

 

武漢市政府は当初、李医師の警告を悪質なデマであると発表し李医師に対して、訓告処分を言い渡すなど誤った対応を行い、その結果、中国市民から政府に対し批判が殺到する事態となっていました。結果的に、中国中央政府は、市政府関係者や李医師を逮捕した公安当局者などを処分し、責任を追及する形で事態の幕引きを図ってきました。


そんな中、第二の李文亮事件が発生してしまいました。湖北省黄石市中心病院に勤める余向東医師が、新型コロナウイルスについて発した発言が原因で、医師の職を追われていたことが分かりました。

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《現在、余医師のSNSからは投稿文が全て削除されている》

 


余医師は自らのSNS上で、「新型コロナウイルスの予防薬について、漢方や医薬品では予防することは出来ない。各地で漢方の権威が様々な漢方を薦めているが意味がない。マスクの着用について、近くに咳をする人がいない場合、着用の必要はない」と、これまで政府が呼びかけてきた注意点を覆す発表をしたのです。


こうした余医師の発言を問題視した地元規律検査委員会は今月23日、公式声明として「新型コロナウイルスの感染拡大予防を行なっている中、余医師は政府が提唱するマスク着用や、CT検査、外出自粛などについて冷嘲熱諷し悪影響をもたらしている」とし、副院長の職を解任することを発表したのです。


中国メディアは、当局が余医師が中国医学、つまり漢方医学を軽視する発言を行ったことを特に重く見ていると報じています。一方、中国のネットユーザーからは「中国政府は、専門の医師の発言を一方的に否定している。李医師のようにまた逮捕でもするのか?」「そもそも中国人は漢方を過信しすぎているのではないか。漢方の効果については不明なことも多いのに」「漢方を否定された政府がメンツを潰されたと思って解任したのではないか」など、政府の対応を疑問視する声も多く寄せられています。


現在、余医師のSNSの投稿は全て削除されており、副院長の職を解任された後の動向については分かっていません。李医師の死から2ヶ月が経過した今、中国政府はまたしても同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか。