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新型コロナウイルスの感染者が武漢から北京に移動の謎

新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、各都市で道路や交通機関の封鎖を行っている中国。市民の移動を制限しました。都市の封鎖を意味する“封城”という中国語も、メディアでよく目にするようになりました。各都市で厳重に行われているはずだったその都市封鎖ですが、ある一人の女性の行動を巡り、当局の管理能力が問われる事態となっています。


武漢市の女子刑務所に入所していた女性受刑者が9年の刑期を終え、刑期満了で2月17日に釈放なりました。釈放後、発熱の症状があったため女性は隔離措置の対象となりましたが、釈放された女性は家族のいる北京の実家に帰宅することを刑務所側に告げます。


武漢市内の道路や交通機関は全て封鎖されているため、女性は当然、北京の自宅に戻ることはできないはずでした。ところが刑務所の担当者は、釈放したこの女性をわざわざ市内の高速道路の入り口まで送り、女性の家族に引き渡したのです。その後も不可解なことは続きます。この女性は家族の運転する車で武漢市の高速道路を通り、1000キロ離れた北京の自宅まで移動したのです。

 

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武漢市の高速道路の様子》


都市封鎖を行っている武漢市で高速道路を利用できるのは、当局から許可が下りた車両や緊急車両に限られています。当然、北京で高速道路を降りる際にも当局の許可が必要です。ではなぜ、受刑者だったこの女性は高速道路を利用することができたのでしょうか。

 

海外メディアは、この女性がもともと政府関係の職にあり、しかも比較的、高い立場にあったのではないかと報じています。汚職の罪で逮捕され、この武漢の刑務所に入所していたと見られるこの女性。かつての地位を利用し、刑務所や高速道路の関係者に特別な対応を採ってもらったのではないかと報じられています。


女性は北京到着後に新型コロナウイルスに感染していたことが判明したことから、湖北省北京市の公安当局は捜査チームを立ち上げ捜査を開始。感染者の移動を不正に許したとして、湖北省司法局や刑務所の担当者を事情聴取し、すでに刑務所管理局長を懲戒免職としています。


北京市は政治の中枢機関が数多く置かれている中国の首都です。その北京に堂々と感染者の侵入を許してしまった今回の事件。移動の自由がない一般市民からの反発は必至でしょう。