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中国軍・インド軍の突然の衝突、その影にアメリカの影響?


今月15日、中国とインドが領有権を主張し対峙を続けてきたカシミール地方で中印両軍による衝突が発生しました。今回の事件が発生するまで、中印がカシミール地方を巡り対立してきたことを初めて知ったという人も多いのではないでしょうか。高級繊維と知られるカシミアの原料となるカシミアヤギの生息地の一つがカシミール地方なのです。
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今から100年以上前、このカシミール地方は「藩王国(はん)」という一つの王国が支配していました。その後、第二次世界大戦後が終了し1947年以降、ヒンドゥー教のインドとイスラム教のパキスタンがこのカシミール地方を巡って紛争を度々繰り返してきたのです。


中国は1950年代からチベット問題を理由にインドとの関係が悪化すると、中国はインドに対しカシミール地方の国境を主張することとなったのです。中国とインドは1962年から、このカシミール地方の領有権を巡って紛争状態となっていました。このカシミール地方の問題は、列強時代のイギリスの影響や、宗教問題などが複雑に絡み合い、非常に理解しづらい問題と言えます。


中国とインドはこれまで約半世紀に渡り、カシミール地方を巡り現在まで両軍の対峙が続いてきました。対峙と言っても形式的な対立に留まっており、両国軍の間では武装衝突は決して行わないという暗黙の了解が存在していました。


ところが今月15日に発生した中印両軍の衝突によって、少なくとも20名以上のインド軍兵士が死亡、中国軍側では43名上の死傷者が確認され、両軍合わせ60名の兵士が死亡したことが分かりました。両国政府によると、両軍は投石や素手による暴行による衝突があったと説明しており、武器を使用しての衝突はなかったとしています。


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《中国軍に投石を行うインド軍》


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《インド軍兵士を制圧する中国軍》


実は今回の大規模衝突が発生する2週間前、米・トランプ大統領は自らのTwitterに「中国とインドの国境紛争を仲介することができる」と突然投稿し様々な憶測が流れていました。トランプ大統領は、米中対立が激化する中、9月に開催される予定のG7サミットにインドを招待する意向を示しており、中印間で争ってきたカシミール地方の国境について言及することで、インドをアメリカ側に引き込みたい狙いがあるのです。


約半世紀の間、冷静な対峙が続いてきた中印両軍がこのタイミングで突然衝突した背景には、やはりアメリカ政府の見えない力が働いた可能性があるのではないでしょうか。