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中国ネット最大手・テンセントが詐欺師に騙される

日本を代表する住宅メーカー・積水ハウスが2017年、地面師グループに55億円もの大金を騙し取られた事件は、皆さんの記憶に新しいと思います。


中国でもこのほど、中国ネット最大手・テンセントが3人の詐欺師によって、多額の損害を出していたことが明らかになりました。時価総額5兆円とも言われるテンセントが、なぜ3人の詐欺師に騙されたのか。その鮮やかな手口に注目が集まっています。

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《中国テンセント社》


事件が発覚したのは6月30日。テンセントはこの日、中国の大手調味料メーカー・老干媽(ラオガンマ)を訴え、滞納していた広告費、1000万元(約1億6000万円)の支払いを求めていました。

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《ラオガンマの人気商品のラー油》


訴えによると、テンセントとラオガンマは2019年10月、テンセントが開発した人気レーシングゲーム・QQ飛車における広告配信の契約を締結しました。これにより、ラオガンマはゲームのスポンサーとして利用者に広告を配信出来るようになったのです。


ところが、ラオガンマが広告費を支払わなかったことで裁判へと発展。その結果、ラオガンマは裁判所から資産 1624万元(約2億6000万円)の凍結を命じられました。


ところがこれに対し、ラオガンマ側は「これまでにテンセントと如何なる契約も締結したことはない」と、発表します。


そこで、貴州省貴陽市の公安当局が捜査を開始したところ、捜査線上に3名の詐欺師の存在が浮上したのです。


30代の男、30代の女、40代の女の3名は、ラオガンマ社の経理関係者を装い、同社の印鑑を偽造するなどして、テンセント社と広告契約をしていました。


この3名は、ラオガンマ社の関係者としてテンセント社と広告契約を結びスポンサーとなることで、テンセント社がゲーム利用者らに配信していた有料アイテムなどを入手。それをネット上で転売し、多額の利益を得ていたのです。


3名の詐欺師が、大企業2社を手玉にとり大金を稼いでいた今回の事件は、中国でも衝撃的な詐欺事件として報じられました。


その一方で、意外な現象も起こっています。今回の事件で、中国中の注目を集めた結果、ラオガンマのラー油の売上が通常時よりも228%増加したのです。


とは言え、テンセントが半年間もの間、詐欺師に騙され続けていたことは紛れもない事実で、企業としての防犯能力に疑問の声も高まっています。中国ネット最大手のテンセントが、その信用を取り戻すことは出来るのでしょうか。