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中国孔子学院が名称変更へ、スパイ機関疑惑が原因か

中国語を学習している人であれば、「孔子学院」という学習機関の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。孔子学院とは、中国教育部(日本の文科省に相当)が管轄する中国語の教育機関で、大学などと提携し、事務所や教室を世界各国に設置しています。

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これまで世界160カ国に進出しており、教室の数はおよそ1200カ所。中国語の他、漢方医学、歴史、社会、太極拳、京劇などの中国文化を教えています。日本では、早稲田大学関西外国語大学立命館大学武蔵野大学など15の大学と提携し、様々な講座を展開してきました。


こうした中、孔子学院がその名称を「中外語言合作中心」へ変更すると報じられています。

 

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《中国教育部の発表》


実は孔子学院については、アメリカ政府が昨年から「中国共産党のスパイ機関である」と厳しく非難していました。アメリカ連邦捜査局・FBIが米議会の場で「孔子学院は親中派スパイを育成しており、スパイ活動の拠点となっている」と発言、孔子学院が捜査対象となっていることを明らかにしました。


アメリカ政府は、孔子学院と提携していた国内の大学に対し、提携を継続すれば補助金の停止すると宣言。これにより実際、15の大学が孔子学院を閉鎖しました。


そんな孔子学院ですが、今も世界には1200箇所ほど存在しており、合計4万の中国語講師やスタッフが働いています。アメリカは、その講師やスタッフの中に中国共産党工作員がおり、孔子学院を隠みのに、現地大学の研究機関などからハイテク技術などを盗んだり、協力者を獲得したりしていると見ているのです。

 

孔子学院に対する警戒感は、アメリカから世界各国にも伝わっており、イギリスでは昨年、保守党人権委員会が「孔子学院は中国共産党プロパガンダ機関で安全保障に重大な問題がある」と、名指しで厳しく批判しているのです。同様の問題から、スウェーデンでは国内の孔子学院を全て閉鎖する方針です。

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今回の孔子学院の名称変更には、こうした孔子学院の世界的にイメージ悪化を刷新したい狙いがあるのです。とは言え、名称変更という小手先の対応で、各国の認識を改められるはずがありません。


新型コロナウイルスの対応や香港の一国二制度問題を巡り、ますます世界から孤立する中国。果たして打開策はあるのでしょうか。