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ファーウェイ副会長の裁判再開、巻き込まれるHSBC

ご存知の通り、米中は互いに領事館の閉鎖し合うなど対立が激化しています。そんな中、オーストラリアが中国による南シナ海の領有権の主張は根拠がないと表明。イギリスは5G通信機器からファーフェイ製を排除することを明らかにしました。

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このファーフェイを巡っては、カナダでも進展がありました。銀行詐欺などの容疑でカナダ当局の監視下に置かれているファーフェイの副会長、孟晩舟被告をアメリカに引き渡すかどうかについて、本日27日から最高裁で審議が再開されたのです。その争点となるのは主に以下の数点についてです。

①2018年12月1日にバンクーバーの空港で被告を逮捕した際、逮捕に関わったアメリカ連邦捜査局FBI、カナダ情報安全局CSIS、カナダ警察RCMPが被告の権益を侵害していなかったか


アメリカが本件を政治利用しているか否か


③被告が世界最大級のメガバンクHSBCを騙し、イランとの経済取引を行っていたかどうか


現在、特に大きな争点となっているのが③で、HSBCがどの程度関与していたかという事です。2012年頃から経済制裁の対象だったイランと経済取引を行っていた容疑や、ペーパーカンパニーを作ってHSBCを騙し同行を介しイランに送金などをしていた銀行詐欺容疑がかかっている被告。


彼女の弁護団は、「これまで被告はHSBCの担当者に、パワーポイントを使い、イランにおける業務についての正当性を説明してきた。しかしHSBCはその資料を不正にアメリカ当局に渡し、アメリカはその違法な証拠を元に被告の引き渡しを求めている。被告はHSBCを騙したことはない」として、HSBCアメリカ司法当局に反発しています。結果的にHSBCは、ファーフェイとイランが経済取引を行うことに理解を示し、その仲介役になったとの疑惑をもたれています。そして、その後アメリカ司法当局がHSBCに対し制裁を行わない方針を示したことから、HSBCアメリカ司法局に捜査協力したと見られるようになります。

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《裁判所が公開したファーウェイ側とHSBC側との間でやり取りされたパワーポイント資料》

 


被告の弁護団は、被告とHSBCとの間でやり取りされたパワーポイント資料をすでに裁判所に提出しており、今後被告が銀行を騙していたのかについても激しい争論が行われることでしょう。激しさを増す米中対立ですが、この孟晩舟被告も重要な駆け引きのカードの一枚であることを忘れてはいけません。