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中国で食糧浪費禁止令が発表、大食いファイターや飲食店に混乱も?

中国に滞在したことのある人には経験があるかもしれませんが、中国では食事を残すことに対して、日本のような罪悪感はあまりありません。これは中国古来からの習慣で、食事を振る舞ってくれる人に対して、食べきれないほど食事をたくさん頂いたという感謝の意味で食事を少し残すという風習が今も続いているためなのです。


そんな中、現代では悪習となってしまったこうした食事の風習が中国で大きく変わろうとしています。

 


中国共産党中央規律検査委員会は今月13日、公式サイトで、「習近平国家主席は、飲食物の浪費をしないよう指示を表明した」と発表しました。今後中国国内で食べ残しなど食料の浪費を行わないよう立法する方針であることを明らかにしたのです。

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習近平政権は発足当時から農村部を多く視察するなど食糧問題に力を入れてきた》

 


こうした背景には、国内の14億人という人口に加え、農地など土地資源の減少、農業従事者の減少など、国内での食糧事情が緊迫していることが挙げられます。また、今回世界で猛威を振るっている新型コロナウイルスによって世界的に食糧生産が不安定となっており、それに備えるためでもあります。


そもそも中国憲法第14条および農業法第36条ではそれぞれ、「国家は節約に励み浪費をしないこと」「国家は食糧の大切さを国民に伝えていくこと」などと定められており、今回の「食糧浪費禁止令」はこうした法律を根拠に立法されることになるのです。


こうした中、中国のネット上や飲食店では早速混乱が見られています。中国国内の動画サイトでは大食いタレントが数多く活躍しているのですが、今回の中央規律検査委員会から「食糧浪費禁止令」が発表されると、国内の動画サイトから大食い動画などが次々と削除される一幕も確認されています。動画サイトの運営元が削除したのか、配信者が自主的に削除したのか不明ですが大食いタレントにとっては、今後中国国内での活動は難しくなるでしょう。


さらに湖南省長沙市の飲食店では、来店客の体重を計り客の体重を元に店側が適切な料理を提供するという前代未聞のサービスが開始され、賛否両論を呼んでいます。店側は「食糧浪費禁止令が始まることになったため、客の体重によって適切な量の料理を提供するつもりだった。客が料理を頼み過ぎて食事を残さないようにするための取り組みだった」と説明しています。ネット上では、客のプライバシーを侵害していると厳しい声が相次いで寄せられており、店側は公式サイト上で謝罪する事態に追い込まれています。

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《今回の飲食店では入口に体重計が設置されている》


食料の大量生産・大量消費が進む中国ですが年間に廃棄される食糧は3000万人〜5000万人分とも言われてきました。ひと昔前は食べることに苦労し、食糧の大切さを噛みしめていた中国。今では食べれることが当たり前となりました。今回の食糧浪費禁止令によって、食糧の大切さが市民に芽生えると良いのですが。