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新型コロナウイルス発生当初からヒトヒト感染を伝えていたメディア

皆さんもご存知のように、中国ではほとんどのメディアが当局からの検閲を受けており、特に政権批判につながる内容については、強制的に記事を削除させられたり、担当者が処分されたりするなど厳しく取り締られてきました。そんな環境にあっても、政権批判を恐れず、報道を続けるメディアも存在しています。中でも『南方都市報』や『新京報』、『財新』などは、その筆頭と言えるのではないでしょうか。これらのメディアは、これまで政府にとって不都合な事実も数多く報じてきました。


新京報』は新型コロナウイルスの発生が公表された当初から、中国政府や当局の説明とは異なる情報を報じてきました。昨年12月31日、武漢市当局は正体不明のウイルスによる感染が確認されたと発表しました。ただ武漢市政府は当初、国内外からの批判をかわすため、「ヒトヒト感染の可能性はない」との見解を繰り返していました。ところが1月中旬になると、「ヒトヒト感染の可能性が排除できない」と主張を転換。その後も発表内容が二転三転し、混乱を引き起こしました。医療従事者に感染が広がっていることが明らかになった際も、ヒトヒト感染の証拠とはならないと主張していたのです。

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新京報が報じた当時の記事》


こうした状況の中、『新京報』は1月30日付けの記事で「2019年12月中旬にはヒトヒト感染を起こしていた新型コロナウイルス」という記事を配信していました。同紙は、イギリスの医学誌『NEJM』に掲載された論文を引用する形で、「1月1日から11日までに7名の医療従事者への感染が確認されており、濃厚接触者の間でヒトヒト感染が発生していることは明らかだ」と報じていました。さらに、「新型コロナウイルスの感染の危険性を訴えた医療関係者が数名、無実の罪で逮捕された。冤罪である」と間接的に当局の対応を批判する内容も配信していました。

 

当局の情報隠ぺいを当初から報じてきた新京報。報道の制限が厳しく敷かれる中国にも、まだこうしたメディアが存在していることをぜひ知ってほしいと思います。