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中国で女子大生が誹謗中傷の被害に、一体なぜ

日本では新型コロナウイルスの感染が広がるにつれ、その感染者や濃厚接触者を誹謗中傷する“自粛警察“なる輩が幅を利かせるようになりました。
 
こうした歪んだ正義感を振りかざし他人を口撃する“自粛警察”。実は今中国でも非常に問題となっており、このたび、2人の女子大学生がその標的となってしまいました。
 
今月14日、中国湖南省ターミナル駅・常徳駅で58歳の男性が突然意識を失い倒れるという出来事がありました。偶然その現場に居合わせたのが今回ターゲットとなってしまった2人。四川成都中医薬大学の女子学生です。
 


2人は意識を失った男性に、心臓マッサージや人工呼吸を繰り返し、蘇生を図りましたが、残念ながら男性は死亡してしまいました。
 
《男性を救えなかった責任から涙で玄蕃を後にする2人》
 
ところが、この出来事がメディアで報じられると、それと同時に様々なデマが流れ、男性を助けようとした女子学生に非難の声が寄せられるようになったのです。
 
ネット上では、「この医大生たちは医師免許を取得していないのに医療行為を行った。男性が死亡したのは2人の技術不足が原因だったのではないか」「医師免許がないのに医療行為を行った2人は、遺族から訴えられている」など、男性の死亡原因が2人の医大生にある、とするコメントが相次ぎました。さらに、こうしたデマや誹謗中傷のコメントに、6万を超える“イイね”が押され、「女子学生に非がある」という事実と異なる世論が形成されつつありました。
 
幸い、死亡した男性の遺族がメディアの取材に「死くなってしまったことは残念だが、最善を尽くしてくれた2人の医大生には感謝しかない」と答え、デマを否定。四川成都中医薬大学も「人命を救おうとする、医学生として相応しい行動をとった」として同医大生2名を表彰することを明らかにしました。
 
しかし、ネット上には今もデマに惑わされ、女子学生たちへの誹謗中傷を続けるネットユーザーたちがいます。このように、一度広がってしまうと、状況を覆すことや収拾することが難しい、ネット上の誹謗中傷。日本では自殺者が出るなど、大きな社会問題となっていますが、こうした問題は日本に限ったものではありません。
 
インターネットの普及に伴い、正しい情報を選別することが益々難しくなり、暴力的な発言をすることに躊躇いのない人も増えている現代。ネット上の誹謗中傷は世界共通の社会問題と言えるでしょう。そして、それを防ぐために必要なネットリテラシーの向上は、中国でも大きな課題となっているのです。