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ディズニー映画ムーラン、国際的なボイコットへ発展か

中国の古典物語・花木蘭(ムーラン)がディズニー映画となって、各国で放映が始まりました。しかし今、この実写化映画を巡り、新たな政治問題が巻き起こっています。
 
ディズニー映画としては初めて中国古典を原作とし、主演のムーランも中国系アメリカ人、リウ・イーフェイ(劉亦菲)(31)が演じている今作。中国各地の武将が群雄割拠する南北朝時代を舞台にした同作は、主人公のムーランが病弱な父親に代わり男性として戦に参加し、仲間を勝利に導く物語で、ムーランは勝利の女神・中国版ジャンヌダルクとして描かれています。
 
 
 
 
ところが今、この主演女優のリウがとった行動やエンディングロールに出てきたクレジットを巡り、各国から非難の声が寄せられているのです。
 



主演女優のリウが非難の的となったのは、彼女が今年8月14日、香港で香港警察隊とデモ隊との衝突が長期化する中、自身のSNSに「私も香港警察を支持します」と投稿し、香港政府支持の立場であることを明らかにしたためです。このため、「ムーランをボイコットしよう!」と呼びかけるハッシュタグもトレンド入りするなど、香港市民から激しい抗議のコメントが投稿され、香港では大きな騒ぎとなっていました。
 
そして本編のエンディングクレジットで出てきたのが、一部シーンのロケ地となった新疆ウイグル自治区の地元公安当局や共産党委員会などの機関名です。ご存知のように、現在アメリカやヨーロッパ諸国は、新疆ウイグル自治区で「人権弾圧や民族虐待が行われている」として、中国政府を非難する声明が相次いで出しており、新疆ウイグル自治区の情勢には国際的にも大きな注目が集まっていました。にも関わらず、今回ディズニー側が新疆ウイグル自治区の関係機関をわざわざクレジットに入れたことから、世界的に批判の声が高まってしまったのです。
 
そんな中、メディアの取材を受けたディズニー側の担当者は「今作はほとんどのシーンはニュージーランドで撮影されているが、中国国内でも20シーンほど撮影を行ったし。撮影に協力してくれた中国政府や当局に謝意を示すのは当然である」と強気な発言をしています。
 
ディズニー作品と言えば、これまでも黒人キャラクターや黒人俳優の演出について、議論を引き起こしていました。このため、この数年で黒人系の俳優が主演に抜擢されるといった新たな流れも生まれ、今回、初めて中国系俳優が主演に選ばれたのも、そうした時代の趨勢を反映したものと言えるでしょう。
 
しかし制作したディズニー側もよもやそれが原因で国際的な政治問題に巻き込まれるとは思っても見なかったに違いありません。新たなテクノロジーが国際的な政治問題を引き起こす現在。今後、エンターテインメント分野でも、こうした政治絡みの問題が頻発するように頻発するようになってしまうのでしょうか?