周来友ブログ

周来友オフィシャルブログ

ネイマール差別発言、中国で大炎上の理由とは

スペインメディアはこのほど、今月13日に行なわれたリーグ・アン第3節のマルセイユ戦でブラジル代表のネイマールが暴言を吐くなどの問題行動を起こした際の証拠映像を公開しました。
 


 
報道によると、ネイマールは日本代表・酒井宏樹選手に対し「クソ中国人!」といった暴言を吐いたといいます。今後、現地サッカー連盟の調査でこれが事実だと認められれば、ネイマールには最大で20試合の出場停止処分が下されることになります。
 
この世界的一流選手による人種差別発言、日本ではそこまで大きな問題とはなっていないようですが、暴言の矛先となった中国では日本以上に大きく報じられています。中国大手メディア・新浪体育(9月30付け)が今回のネイマールの発言について報じると、ネットユーザーからも怒りのコメントが寄せられました。
 
「黒人は自分が差別されることには怒るのに、自分が他人を差別することには疑問を感じないのか?」
 
「中国の国内リーグでは、高額な報酬で招聘された外国人選手が大勢プレーしているが、ネイマールには絶対来てほしくない」
 
ネイマールは日本と中国の違いも分からないバカなのか」
 
600万人ものフォロワーを持つネイマールの公式ウェイボー(中国版Twitter)でも、コメント欄に同様の厳しい意見が寄せられており、日本以上に大きな反響がありました。その後ネイマールは自身のInstagramで、「バカなことをしてしまった」と反省のコメントを寄せています。
 
中国でここまで非難の声が高まった背景には、中国社会の価値観である「メンツ」や、ドル箱事業へと成長した中国サッカーリーグへの自負があるのではないでしょうか。
 
中国ではプライベートや仕事に関わらず、自身のアイデンティティに関わる体裁や世間体をとても重視します。中国人と交流のある人であれば理解出来ると思いますが、食事を大盤振る舞いしたり、旅行した際に近所や友人に大量の土産を配ったりすることで、自身の懐の大きさをアピールすることが少なくありません。こうして自分のメンツを保つことは、自己形成をする上で、とても重要なことなのです。そのため中国人は、祖国である中国や中国人を否定するような言動に非常に敏感に反応するのです。
 
また、中国スーパーリーグは放映権や広告収入の増加が著しく、80兆円規模にまで成長しました。現在、上海のチームに在籍しているブラジル代表・オスカルの年俸は30億円とも言われています。中国人は、ヨーロッパリーグを超える規模となった中国リーグに自負を持っているため、他国のサッカー選手が中国に対する差別的発言をしたことに拒否反応を示したのでしょう。
 
今も中国で炎上を続けているネイマールの差別発言。沈静化にはまだまだ時間がかかりそうです。