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ファーウェイ向け半導体チップが一部解禁へ

これまでもお伝えしてきた通り、中国通信機器大手・ファーウェイは、アメリカ政府による事実上の経済制裁の影響で、スマートフォンなどに搭載する半導体チップが購入出来なくなり、来年3月以降通信機器の製造がストップする、と報じられてきました。
 


そんな中、半導体大手・米インテルがファーウェイに半導体チップの供給を継続することを決めたようです。中国メディア(9月21日付け)によると、今回インテル側は既に、アメリカ政府から半導体チップをファーウェイに供給するための許可を得ているといいます。
 
さらに、同じく半導体製造大手のAMDアドバンスト・マイクロ・デバイセズ)も、ファーウェイへの供給を行うためアメリカ政府から許可を得たと公表してました。
 
ただ、今回立て続けに米国のから半導体チップ供給の約束を取り付けたファーウェイですが、依然危機的状況であることに変わりはありません。今回ファーウェイへの供給を許された半導体チップは、主にパソコン向けのもので、スマートフォン向けのものではないからです。
 
一方、アメリカ政府が部分的にファーウェイへの半導体チップ供給を許可したのは、半導体製造企業への経済的影響を考慮したからでしょう。
 
中国が昨年輸入した半導体の総額は3056億ドル。その輸入額は毎年10%の増加を続けてきました。当然アメリカの半導体業界は、中国を重要なマーケットととして重視してきました。ファーウェイへの半導体チップ供給を全面的に禁止することは、アメリカにとっても大きな経済的損失となるのです。こうしたことから、アメリカはPC向けの半導体の輸出を許可したものと考えられます。
 
こうした中、中国政府直属の研究機関・中国科学院は今月14日、重要通達として半導体チップの国内生産に向けた計画を明らかにしました。中国政府は、国内で半導体製造・生産を可能にするため、2025年までに1.4兆ドルもの資金を投じ、設備投資を行うとしています。
 
アメリカにとって半導体は、中国政府を牽制するための重要な外交カードでした。中国が自ら半導体チップを生産できるようになれば、アメリカが半導体の輸出市場を失うだけでなく、世界のスマホ市場にとっても中国製スマホにシェアを奪われる可能性が出てきます。半導体の自国生産に向け大きく舵を切り始めた中国。今後数年の間でスマホを取り巻く環境も大きく変化していくことでしょう。