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中国・台湾の関係悪化、芸能界にも大きな影響

中国と台湾の対立が激化しています。中国との関係悪化に伴い、アメリカが台湾に接近しており、8月、アメリカのアレックス・アザー厚生長官の訪台に続き、今月には国務省のキース・クラック次官が李登輝元総統の告別式に参列するため訪台しました。台湾も現在、中国からの独立志向が強い民進党が与党としてアメリカとの関係強化に乗り出しています。こうした動きが中台関係の急激な悪化を招いたわけですが、その影響は中台の芸能界に及びつつあります。
 
台湾出身のチェリストで、女優としても活躍しているオーヤン・ナナ(欧陽娜娜/20)ですが、今まさに中台の政治問題に巻き込まれています。中国国営テレビCCTVは今月30日、中国の建国記念日国慶節”を祝うため特別番組を放送しますが、オーヤン・ナナもこの特別番組に出演し、他の出演者と共に「わが祖国」などの合唱曲を歌うことになっています。
 
 
 
しかしこの番組を巡り、台湾当局がオーヤン・ナナを調査すると発表したのです。中国の情報収集や政策対応を行っている台湾行政院大陸委員会は、「台湾人は台湾の利益を前提に行動しなければならない。中国による台湾統一のための“手段・野心”を理解しなければならない。中国で行われるイベントには参加するべきではない」と公式声明を発表していました。台湾現地メディアは、「オーヤン・ナナの中国でのイベント参加が台湾にとって不利益となると判断された場合、条例違反の疑いで捜査対象となるだろう」と報じています。
 
これまで台湾と中国で活躍してきたオーヤン・ナナは、芸能一家に育ったこともあり、高い注目を浴びてきました。昨年3月には、自らの言葉で「私は中国人」と発言したことで台湾では大きな非難を浴びていました。
 
これまで中国と台湾の芸能界は、政治的な対立とは距離を保ち交流を行っており、中台の芸能人たちはドラマ・映画・音楽・バラエティなどの幅広い分野で共演してきました。今回の事からも分かるように、今後は政治的な対立が芸能界にも大きな影響を与えることになるでしょう。昨今、日本からも多くのアーティストや俳優が中国や台湾に進出するようになっています。
 
日本の芸能界も、中台がどのような関係にあるのか、今、国際情勢がどのように変化しているのかをしっかり把握しておかなければ、こうした政治問題に巻き込まれてしまう可能性があることを肝に命じておかなければなりません。