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アメリカ移民局、ついに中国人のビザ発給禁止へ

中国では行政職員や教師、政治家などの公職に就こうと思うと、実質的に共産党に入党しなければ就職は叶いません。また、企業で幹部となるにも、共産党員の方が有利とされています。このため最新のデータを見てみると、共産党員は少なくとも9000万人を超えているようです。
 
 
《党員数9000万人突破を伝える中国メディア》

そうした中、アメリカ政府が中国に対する新たな制裁のカードを切りました。
 
アメリカ移民局(USCIS)が今月2日、中国人向けの移民ビザの申請条件を大きく変更することを発表したのです。アメリカ当局は共産党に所属している中国人に対し、永住権(グリーンカード)や、移民ビザの発給を停止。現在、共産党員である中国人はもちろん、過去に共産党に入党していた者についても、ビザの発給を禁止する決定を下したのです。
 
 
 
 
当局は今回の措置について、「全体主義を標榜する政党の党員を、受けいることは出来ない。安全保障の観点から決定した」と説明しており、今後、議会での承認を目指す構えです。
 
アメリカ移民局》

移民局が安全保障を理由に共産党員である中国人へのビザ発給を停止したい背景には、中国ならではの国家システムがあると考えられます。
 
中国では、政府の上に共産党が存在しており、中国国民は共産党の指導に従うことが憲法によって定められています。特に、共産党員の場合は党への忠誠が強く求められることになります。アメリカ政府は、このことを非常に警戒してきました。
 
アメリカ国内の企業や大学、研究施設などでは、今も多くの中国人たちが働いたり学んだりしています。このため、アメリカ政府は、中国共産党に所属する在米中国人がアメリカで手に入れた先端技術などの最新情報を共産党に流している、という疑念を持ってきたのです。
 
すでにアメリカ政府は、中国の特定の大学や軍事系研究所出身の在米中国人にアメリカからの退去を命じています。サンフランシスコの中国大使館に匿われていた中国人女性がスパイ容疑でアメリカ当局に逮捕された事件は皆さんも記憶に新しいのではないでしょうか。
 
これまで米中対立と言えば、貿易摩擦であり、中国製のスマホ、アプリの使用禁止など経済やモノに対する制限が中心でした。今回のビザ発給禁止措置は、“ヒトの移動”を制約するものになります。このことから分かるように、アメリカ政府は、着実に、そして確実に、中国への圧力を強めていると言えるでしょう。