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中国で高齢者が増加、日本にはビジネスチャンス?

日本で言う「高齢者」とは、65歳以上の人を指します。一方、中国では60歳以上の人を「高齢者」として定義しています。中国では年金の支給開始年齢が原則60歳であることからそのように定義されているのです。
 
 
そんな中国で北京市がこのほど発表した「北京市老齢事業発展報告2019」の内容が話題となっているようです。その内容とは、北京市が過去に例を見ない速度で高齢化が進んでいるというものです。この報告書によると、2015年に約340万5000人だった北京市の60歳以上の人口が、2019年には17.2%増となる371万3000人にまで拡大。また、市内の80歳以上の人口は現在63万人に達し、一年で4.7万人も増加しました。北京市の全人口が約2150万人であることを考えると、高齢者比率がいかに多いか分かるでしょう。北京市の平均寿命も、医療水準向上などにより、過去最高の82.31歳となりました。
 
高齢者が長生き出来る社会であることは、とても素晴らしいことではありますが、一方で、医療費の増加や労働人口への負担増大といった問題が出てくるのも事実です。北京市では、高齢者1人を2.3人の労働者が支えている状況で、この数値は日本とほぼ同レベルです。
 
では、医療制度や年金制度といった社会保障がまだまだ整備途上にある中、加速度的に進む高齢化に、中国はそのどのような対策を行っているのでしょうか。90年代から、国家体育局などは高齢化による医療費の増大を抑えるべく、国民の健康を向上させようと、全国各地の公園等に運動器具を設置してきました。そのおかげもあり、中国の公園や広場では今、多くの高齢者が積極的に運動に励む姿が見られます。
 

 
 
一方、中国の高齢者人口の増加は日本企業にとってはビジネスチャンスとなる可能性もあります。これまで中国では、高齢となった親の面倒は子供がみる、というのが社会的通念でした。しかし、共働きの増加などにより、現在高齢者施設を利用する世帯が急速に増えました。しかし、日本の“介護士資格”に当たる「養老護理員国家職業技能基準」という資格は存在しているものの、日本のようなノウハウを持つ高齢者施設は少なく、制度自体が廃止されたりと、日本の社会福祉レベルには全く追いついていません。
 
この数年で、高齢者施設を運営する日本企業の中国進出が増えていますが、細やかでおもてなしの行き届いた安全性の高い日本の高齢者施設は、中国でも大きな注目を集めています。今後中国でもハイレベルな日本の介護や医療が必要とされる時代が来るのかもしれません