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中国のトイレ革命、5年たった今も成果は厳しい?

“トイレ”は、その国の国力や国民性、衛生状況などを測る一つの指標と言われていますが、特に公衆トイレにはそれがよく表れます。日本のトイレはというと、駅や公園、デパート、サービスエリアなど、不特定多数の人が利用するトイレは、そのほとんどが非常に清潔に保たれており、世界的にもトップレベルの評価を得ていると言えるでしょう。
 
一方、中国はというと、都市部ではほとんどが水洗の個室トイレとなっていますが、中規模都市や農村では今も、汲み取り式トイレや仕切りのないトイレが少なくありません。このため、中国は2012年の習近平政権発足以来、トイレの衛生環境を向上させるべく、全国で水洗トイレの普及を推し進めてきました。これは習近平政権の目玉改革の一つで“トイレ革命”と呼ばれています。
 


《地方のトイレ》
 
2015年から始まったトイレ革命ですが、6年目となった今年はどのような状況になっているのでしょうか。中国メディアは今月22日、黒竜江省政府が、トイレ革命を担当していた公職者28名を処分したと報じました。
 
省政府によると、この28名は2016年~2018年の間、ハルビン市内の3つの地域でトイレの増設業務に携わっていました。政府は処分の理由として、増設予定だったトイレが279箇所だったにもかかわらず、実際には259箇所しか増設されていなかったこと、さらに23のトイレで図面通りの施工がされておらず、手抜き工事が行われていたこと、トイレの壁の亀裂や建物の沈下が確認されたこと、下水工事が不十分で汚水が漏れていたことなどを挙げています。
 
このように、都市部のトイレでは専門の清掃員の配備やWi-Fiの設置などが進む一方、地方部では手抜き工事の横行が相次ぎ、計画通りに進んでいないのが現状です。
 

《都市部のトイレ》
 
軍の掌握や、香港への強権的帰属などを推し進めてきた習近平政権ですが、政権の目玉改革であるトイレ革命は5年経った今も思うような成果を挙げられていません。中国で日本のようなトイレ環境が整うのは、まだまだ先になりそうです。