今年に入り大学関係者の逮捕が相次ぐ中国、一体なにが?
日本学術会議の会員候補6名が政府から任命を拒否された出来事が、連日国会やメディアで大きく取り上げられています。“学問”と“国家”との関係性に改めて注目が集まったと言えるでしょう。そんな中、お隣の中国では今、大学関係者が次々と当局に逮捕される事件が相次いでいます。
中国では今年に入ってからこれまで、28名もの大学関係者が身柄を拘束されているのです。最初の事件は1月8日のことでした。メディア学の分野では中国最高水準とも言われる中国伝媒大学で突然、副学長だった蔡翔氏の逮捕が発表されたのです。蔡氏は副学長の職を解任され、共産党員の資格も取り消されました。
その後も中国各地の名門大学で、学長や副学長レベルの関係者の逮捕が相次ぎ、今月13日にも北京工業大学の学長・丁輝氏が逮捕され、現在取調べを受けているといいます。
学校関係者を逮捕しているのは中国共産党中央規律検査委員会で、この機関は主に、高級公職者などの腐敗、つまり賄賂や汚職などを監視・取締ってきました。特に習近平政権が発足してからは、同政権の目玉的公約である“トラもハエも叩く”という反腐敗スローガンの下、大物政治家や高級官僚を次々と逮捕してきました。
ところが、これまで省や市などのトップクラスを逮捕してきた同機関が、今年に入り突然、大学関係者への捜査を加速させのです。中国メディアはその背景について、科学技術分野への投資や、企業との共同事業などによって、多額の資金が大学に入るようになり、金銭的腐敗が起こりやすくなっているためだと指摘しています。
不正行為や政権批判を口実に、大学関係者の逮捕が相次いでいる中国。教育機関におけるこうした状況は、中国政府の厳しい管理の目が、大学にも向けられていることを物語っているのではないでしょうか。