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NTTドコモ不正出金事件で注目される顔認証、中国では顔認証チェックを突破される事件が発生

NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を悪用した不正出金事件は、NTTドコモや銀行などのセキュリティーの甘さをついた、なりすましによる口座開設などが行われ、被害が拡大しました。こうした犯罪により、日本では、なりすましを防ぐ「2段階認証」に大きな注目が集まっています。2段階認証は、暗証番号などによる本人確認に加え、別のパスワードや生体認証、ワンタイムパスワードなどを通じ2度の認証を行う仕組みです。
 
 
一方、オンラインでの電子決済が日常に溶け込み、現金を目にする機会もほとんどなくなった中国では、オンライン決済の推進とともにセキュリティー対策にも力が入れられてきました。ところが、そんなセキュリティーを突破し、電子マネーが不正に引き出される事件が発生し、犯人グループの手口に注目が集まっています。
 
中国メディア・楚天都市報(10月17日付け)はこのほど、中国国内を中心に12億人の利用者数を有する人気メッセージアプリ、WeChatの支払いシステム、“WeChat Pay”から多額の電子マネーが不正に引き出されたと報じました。
 
 
 
被害が報告されたのは今年の7月。中国湖北省の警察当局に、口座から電子マネーが消えたと被害届が出されました。記事によると、被害届を出した女性は、日頃から8歳になる子供に自分のスマートフォンを渡し、スマホゲームなどをさせていました。そんな中、女性の電子口座から突然2万元(約32万円)の預金が不正に引き出されてしまったのです。警察の調べによると、女性の子供はスマホのオンラインゲームで知り合った人物からメッセージを受け取り、言われるがまま親のWeChatアプリのパスワードなどを伝えてしまったといいます。その後、この人物はWeChatアプリに不正にログインし、“WeChat Pay”に紐づけ登録されていた電子口座から不正に2万元を引き出しました。
 
しかし、“WeChat Pay”にログインする場合、パスワードの他、2段階目の認証として顔認証が必要となります。いったい犯人はどのように顔認証チェックを突破したのでしょうか。
 
今月12日、警察に逮捕された犯人は、被害者がSNSなどに投稿していた自撮り写真などを収集、AIシステムに読み込ませて被害者の顔の3D動画を作成し、顔認証を突破していたことを明らかにしました。世界的に話題になっているAI技術を使ったディープフェイクが応用されたと思われます。
 
顔認証システムそのものへの信頼を揺るがしかねない今回の事件。セキュリティ対策技術の進歩に比例し、犯罪組織の技術も進歩しているのです