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ファミコンのパクリ企業、ついに倒産へ

“パクリ国家”というありがたくない評価を受けている中国ですが、この度、あの超人気ゲーム機を模倣し、一時代を築いたゲームメーカーが破産することになりました。80年代、世界を熱狂させたゲーム機と言えば、家庭用ゲーム機の基礎を作った任天堂ファミリーコンピュータファミコン)。70年代〜80年代生まれの世代なら誰しもが一度は触れたことがあるでしょう。
 
当初ファミコンは台湾や香港では発売されたものの、中国では発売の許可が下りませんでした。当時の中国は、まだ海外のアニメやゲーム、映画やドラマなどの文化に強い警戒感を抱いていたことから、ゲーム機も販売許可を得ることが非常に難しく、ファミコンも中国での発売が実現しなかったのです。
 
そんな中、現れたのが”小覇王”でした。当時、ファミコンは中国人にとって非常に高額で、国内では入手することもできなかったため、小覇王という電子機器メーカーが互換機、つまりファミコンのパクリ製品(小霸王遊戯機)を製造したのです。
 




1987年に誕生した小覇王は、当初小さな電子機器メーカーでしたが、この小霸王遊戯機が中国国内で大ヒット、ゲーム機器だけでなく、ソフトのコピー製品も抱き合わせで発売され同社は急成長を遂げます。
 
1991年には売上高が10億元(約1600億円)に達し、子会社は10社以上を抱える大企業へと成長した小覇王。当時の中国では、一般市民はもちろん、国にも知的財産権という概念はなく、コピー製品の取り締まりなどは行われていなかったのです。
 
ところが、その小覇王がこの度、破産申請を申し入れていたことが明らかになりました。中国メディアによると、小覇王は4年ほど前からVR市場に参入すべく多額の出資を行っていましたが、大きな損失を出し、3億元(約50億円)という赤字を抱えていたといいます。
 
 
 
小覇王は、ファミコンのコピー製品の製造と販売で一時代を築きましたが、その後、ゲーム産業はファミコンからPlayStation、オンラインゲーム、スマホアプリへと移行し、ファミコンの時代は幕を閉じてしまいました。さらに、小覇王は最近までECサイトなどでパクリ製品である小霸王遊戯機やソフトを販売していましたが、ECサイト側による模造品の出品禁止などの措置により、販売すら出来ないという状況が続いていたのです。小覇王の末路は、パクリ製品の天下は決して長くは続かないということを示唆していると言えるでしょう。