周来友ブログ

周来友オフィシャルブログ

中国で西洋由来の記念日を祝った女性、警察に通報される

アメリカが昨日Thanksgiving  Dayつまり感謝祭を迎えました。アメリカの人々にとって非常に重要な記念日である感謝祭。その起源はイギリスから初めてアメリカに渡ったピルグリム・ファーザーズの祝宴だったと言われており、400年余りもの歴史がある記念日です。そんな感謝祭が今、中国で大きな議論を呼んでいることをご存知でしょうか。事件は中国東北部にあるハルビンの大学で起こりました。
 
《事件のあったハルバン工業大学》
 
 
今月26日、ハルビン工業大学の学生寮の管理人の女性が、アメリカの感謝祭を記念し、学生たちにお菓子を配っていました。心温まる何気ない話かと思いきや、その行為を学生が警察に通報し、大騒ぎとなってしまったのです。
 
地元メディアによると、学生は管理人の女性が国内に西洋文化を広めるため“洋節活動”を行っていると警察に通報したといいます。ではなぜ学生はここまで大袈裟な対応をしたのでしょうか。
 
実は中国では2014年頃から、地方政府などが西洋由来の記念日や文化を祝ったりしてはいけないという通達を出すようになっていました。これは中国国内にクリスマスやハロウィンなどの西洋文化が広がることで、西洋文化に傾倒する国民が増えないよう、また中国伝統の記念日をより大切にさせようとする中国政府の意向が反映されたものです。
 
《クリスマスをボイコットしようとデモ行進する若者たち》

《政府の通達に反応し市民によって放火された街中のクリスマスツリー》
 
実際に、安徽省や河北省、貴州省などは、学校内でクリスマスのイベントを行うことを禁止したり、街中にクリスマスツリーを設置することを禁止する通達を出してきました。こうした地方政府の指導もあり、一部の学生の中には、西洋由来の記念日にアレルギー反応を示す者も出てきたのです。
 
今回の事件について、ハルビン工業大学は中立的な立場を表明しており、管理人女性の処罰などは考えていないとした上で、西洋由来の記念日についても、祝うか否かは個人の判断で決めるべきだとしています。一方、ネット上には、「わざわざ警察に通報した学生は頭がおかしいのではないか」、「こういう奴はクリスマスパーティーにも呼ばれたことがないのではないか」など、厳しい声が多く寄せられています。
 
こうした伝統文化重視の政策を進めてきた中国ですが、一方でクリスマス商戦などは堂々と行われ、大きな利益を生んできました。その極端で矛盾した政策によって、とんだ災難に巻き込まれてしまった管理人の女性。本来心温まる話で終わるようなその行為は、非常に後味の悪い結末となってしまいました。