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中国新たな経済モデル、C2Mはコロナ不況の救世主となるのか

世界中が注目するアメリカ大統領選挙。トランプ現大統領が再任となるか、バイデン大統領が誕生するのか、中国でも予想合戦が繰り広げられています。しかし、いずれの結果となってもアメリカ政府の対中政策は大きく変わることはないとみられ、米中対立は今後も続くことが予想されます。
 
現在、アメリカ政府は中国に進出していアメリカ企業に対し、中国からの撤退を呼びかけていますが、中国経済に依存しない経済成長は実際に実現可能なのでしょうか。
 
iPhoneを例に取ると、全部で2000以上の部品から成り立っているiPhoneには、約600社の企業が部品を供給しており、このうち、中国企業300社以上を占めています。精密部品の製造には、特に高度な技術力が必要不可欠なため、まだ中国の代わりになれるほどの技術力を有する企業が育っていない東南アジアでは、iPhoneに部品提供でいるような企業は地域全体でも100社前後しかありません。こうした状況は、iPhoneにとどまらず、他のスマートフォン、パソコン、通信機器なども同様です。
 
 
 
 
また、ジバンシィ (GIVENCHY) などの世界的ファッションブランドは、その多くがコストが安価な中国に生産拠点を置き、原価の10倍以上での販売を実現しています。中国不要論を叫ぶ人も少なくありませんが、所有しているパソコンやスマートフォン、家電、着用しているアパレル製品などあらゆる商品が、必ずどこかで中国が関わっており、その関係を完全に断ち切ることは現実的ではないでしょう。
 
また、毎年のように中国経済崩壊論が叫ばれますが、中国で注目が集まっている新たな経済モデルはそうした不安を吹き飛ばすものです。その新たな経済モデルとはC2M(Customer to Manufacturer)と呼ばれる、“消費者—製造者”が直接繋がるモデルです。つまり、消費者からの直接注文を受けた製造者が、消費者に直接納品するというシステムで、これにより製造側は在庫を持つ必要がなくなるだけでなく、店舗を通さないことで様々な必要経費を抑えることも可能となります。そのため、消費者は定価の10分の1ほどの価格で商品を購入することができるのです。
 
 
 
 
実際にこのC2Mによって、4250元(約68000円)の高級スキンケア商品の価格が218元(約3500円)にまで抑えられ、店頭価格1980元(約3万円)の人気スーツケースも339元(約5400円)で販売されています。製造者と消費者の間に存在していたいくつもの中間業社を排除できるほか、転売行為による高価格化も防ぐことが出来るため、消費者にとっても大きなメリットとなるこのC2M。すでに中国のECサイトショップでは導入が始まっています。
 

 
 
新型コロナウイルスによる世界的な経済不況が予想される中、この経済モデルは中国の内需拡大に即効性があると期待されており、中国に製造拠点を持つ外国企業にとっても、新たなビジネスチャンスとなるものです。脱中国を進めようとするアメリカですが、このC2Mによってアメリカの対中政策も変化せざるを得なくなるかもしれません。