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医師が無断で患者から臓器摘出

先日、中国安徽省蚌埠市(ほうふし)の裁判所で、ある事件の裁判が行われました。医師を含めた6名が、患者らの体内から違法に内臓を摘出していたという、にわかには信じがたい事件が発生していたのです。
 
事件は安徽省懐遠県の人民病院(公立病院)で2017年から2018年にわたり行われ、2018年2月に発覚しました。
 
《事件のあった病院》

当時、この病院のICUに女性が緊急搬送されたましたが、脳挫傷の状態がひどかったため、5日後に同病院で亡くなりました。女性の遺族によると、女性が死亡した日、病院側は遺族に確認をとらないまま、勝手に臓器が取り出されていたといいます。亡くなった女性は臓器提供の意思が記載されたカードなども所持しておらず、違法に臓器を取り出されたのです。
 
記事によれば、この病院ではこれまで、医師4名を含め6名の病院関係者が、死亡した直後の患者11名から本人や遺族の同意なしに臓器の摘出を行っていました。また摘出した臓器は、病院関係者らが密かに他の病院に運び、臓器移植などに使用していたといいます。
 
地元当局は今年5月、《関係書類の偽造》や、《人体器官移植条例違反》《遺体損壊罪》などの容疑で関係者6名を逮捕、その後、現在に至るまで裁判が行われていました。6名にはその後、10ヶ月〜2年4ヶ月の有期刑が下されています。
 
《逮捕された医師の1人》
 
 
こうした事件が発生した背景には、中国の医師の給与の低さが影響しているのかもしれません。中国の病院の多くは公立病院で、医師の平均年収は8万元(約130万円)ほどしかありません。これは、中国の大卒初年度の年収とほぼ同レベルの金額です。そんな懐事情の医師が、副業として密かに臓器を販売していた、というのが、今回の事件の真相と言えるのではないでしょうか。