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毒親による叱責が殺人事件に発展か

最近ネットなどでも話題となっている“毒親”。子供への過干渉などによって子供の人生に大きな影を落とす毒親の存在は、これまでメディアなどでも大きく取り上げられてきました。実は中国でもこうした毒親の存在が社会問題化しており、時には親子殺人へと発展してしまっているのです。
 
中国メディアによると今月13日、中国南京市玄武区で現地の高校3年生が母親を殺害する事件が発生しました。記事によると、この生徒は日頃から母親に勉強面で厳しく管理されてきたと言います。そんな中、今月12日、学校から帰宅後、自宅で宿題をしていた同生徒は、母親から勉強について叱責を受け、口論となりました。そして、積み重なった母親への鬱憤が爆発し、近くにあった刃物で母親を刺し殺害してしまったのです。
 
《事件のあった住宅》
 
《生徒の通っていた学校には保護者たちが駆けつけた》
 
翌日、登校した際に担任教諭に母親を殺害したことを明かした同生徒は、学校からの通報を受け駆けつけた地元警察が学校に自首しました。
 
今回殺人容疑で逮捕されたこの生徒について、メディアの取材に答えた同級生の保護者は、この生徒と殺害された母親が日頃から勉強について衝突を繰り返しており、母親が刃物で子供を脅かしたこともあるほどだったと証言しています。また、この母親については、感情的になりやすい一面があったとの証言も寄せられています。
 
母親は農村出身で、子供に高等教育を受けさせることを目標にしていたと言いますが、周囲の保護者たちは、この母親の教育があまりに厳しかったため、いつか最悪の事態が起こるのではないかと危惧していたようです。
 
今回の事件について、中国のネット上では「名門高校に入って好成績をキープしているのに毎日ヒステリックな親から叱責されていたら、おかしくなってしまうのも理解できる」、「高校生だったということは、大学受験のことで母親から毎日叱責されていたのだろう。それで限界を超えてしまったんだろうか」、「母親も、自分が勉強する機会を得られなかったからと言って、自分のやり残したことを子供に押し付けるべきではない」など、犯人の生徒に同情的なコメントが数多く寄せられています。
 
こうした毒親による事件は9月にも発生しています。今年9月、武漢市にある中学校で、カードゲームをしていた14歳の男子生徒が、教師から注意された後、学校に呼び出された母親からも厳しい叱責を受けていました。怒りが収まらない母親は何度も子供の顔を殴り付けたといいます。ところが、その直後、生徒が校内の窓から身を投げ、自殺してしまったのです。生徒はその後、病院で死亡が確認されました。
 
《校内で母親に殴られる学生、この直後学生は窓から身を投げ自殺した》
 
感情のコントロールできず、怒りに任せて子供を叱責し続ければ、精神的に成長しきれていない子供が受け止めきれないのは当然のことです。
 
中国では2015年、日本に先駆け、子供への体罰や極度な叱責を禁じる《反家庭暴力法》という法律が施行されました。その背景には、世界的に見ても、中国の児童の自殺率が非常に高いということがありました。今回の事件は、保護者が家庭で子供とどのように向き合うべきかを改めて考えるきっかけとなったのではないでしょうか。