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現代によみがえる文革?学生たちに農業体験を強制

現在、中国の小学校・中学校・高校・大学ではある異変が起こっています。中国行政機関トップの中国国務院は今年から、上記の各教育機関に対し、「労働教育」の授業を実施するよう呼び掛けています。
 
気になる「労働教育」の中身ですが、社会や家庭の中で労働者として主体的に働く人材を育成していくことが目的で、小学校・中学校では最低でも毎週1時間、高校・大学ではい学期当たり最低32時間、学校で労働教育を行うことが義務付けられるようになります。




西安市の小学校では調理実習が必修となった》
 
小学校・中学校では、労働者としての意識を芽生えさせるため、職業体験や学校での調理実習などが義務付けられます。一方、高校や大学では農業実習や重工業技術の習得を中心とする授業が義務付けられることになるのです。
 
こうした話を聞くと、思い出されるのが文化大革命ではないでしょうか。毛沢東が主導し引き起こされた政治闘争で、1966年から1976年まで続き多くの人命が失われました。この文革時代、毛沢東は学生1000万人以上の学生に対し、農村での農業体験を通じ毛沢東思想の理解を深めよと命じ、多くの学生が農村に赴き、結果的に非常に貧しい生活を数年に渡り強いられたのです。この文革時代に提唱されていたスローガンが「学工学農」、つまり社会主義国家の労働者として、学生は工業と農業を学ばなければならないというものだったのです。



時代に逆行するかのような今回の政策ですが、専門家の間からは「中国ではGDPに占める第三次産業の割合が50%を超えているにも関わらず、学生たちに文革時代同様、工業や農業を強制的に学ばせることに意味があるのか」などの批判も寄せられる一方、「現代の若者は他人の感情を理解できず、人とのコミュニケーションを取れない者が多くいる。労働に対する意欲もなくしている。労働教育を通して、こうした点を改善できるだろ」と指摘する専門家もおり、賛否両論の声が寄せられています。
 
中国政府の真意が見えないまま導入された労働教育。果たして、農業と工業を強制的に学ばされた若者に労働意欲が芽生えるのか甚だ疑問です。