現在
アメリカと中国の対立は、政治面のみならず経済面にも波及し、両国国民にも
反中感情や
反米感情が広がりつつあります。その一方で、中国西南財経大学が今月22日に発表した「中国国際移民報告2020」からは意外な世相も見えてきました。
同レポートによると、2019年、移民として海外に渡った中国人の数は1073万人に上り、移民の数としては世界第三位となりました。これら中国人移民の多くは「留学ビザ」「経済投資ビザ」「親族ビザ」を取得し、しの移民先として多かったのが
アメリカ・日本・カナダだったのです。
中でも注目されるのが
アメリカへの留学者数です。現在、
アメリカにはおよそ110万人の留学生が滞在していますが、そのうち中国人は40万人。その数は10年前の100倍まで増加しました。
2018年春頃から始まった米国との
貿易摩擦により、政治的な対立が深まり、
反米感情が急速に悪化している中国ですが、
アメリカ留学が先細るような状況にはなっていないのです。
アメリカとの
貿易摩擦の他、
ウイグルや香港での人権問題、台湾問題、海洋進出などにより国際的な孤立を深めている中国ですが、その裏では国を挙げて留学を促進してきました。2016年には、第13次五カ年計画期間中、国家の重要任務として海外留学を促進していくと発表。留学生を通じて海外の先端技術を取り入れるべく、海外で学ぶ留学生や研究者を高待遇で中国に呼び戻すといった政策も講じてきました。
政治的に諸外国との対立が鮮明となっている中国ですが、したたかに海外の先進技術を吸収し続けています。技術大国を目指す中国。その留学促進政策は今後もさらに拡大していくことでしょう。