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中国でまたしても海外メディア関係者が拘束、なぜメディア関係者が狙われる?

中国では今年8月、中国国営メディアの国際版テレビ番組でアナウンサーをしていた中国系オーストラリア人女性・成蕾(Cheng Lei)氏が、突如中国当局に拘束される事件がありました。女性は“中国国家安全犯罪活動”、つまり中国の安全保障上に関わるスパイ行為などを行った容疑が掛けられたのです。彼女は今も拘束が解かれていません。
 
そして今度は、米大手メディア・Bloombergで記者をしていた中国籍女性が、中国公安当局に“中国国家安全犯罪活動”の容疑で拘留されていたことが分かりました。Bloombergが報じたところによると、当局に拘留されたのは記者の範希思(ファン・シースー)氏で、今月7日午前11時30分頃、中国の自宅にいたところを、訪れた私服姿の当局関係者に連れ去られたといいます。Bloomberg側が中国当局に事実関係の確認を行ったところ、中国当局は今月10日、“中国国家安全犯罪活動”の容疑で範記者を拘留したことを認めました。範記者を拘留している北京市国家安全局はすでに、範記者の家族に拘留の事実を伝えたといいます。
 


 
実は今回拘留された範記者は今年8月に拘留された成蕾氏と、SNS上でお互いをフォローし合う関係で、面識もあったと見られており、同じ罪状によって拘留されている両名には何かしらの関係があるのではないかと見られています。
 
では、中国当局はなぜ海外メディアの関係者を拘束しているのでしょうか。これまでアメリカ政府は、同国国内で活動している中国国営メディアの関係者がスパイ活動を行っているとして、在留ビザの制限やアメリカからの国外退去を通達する声明を出してきました。中国政府はこうしたアメリカ側の動きを牽制するため、西側諸国のメディア関係者の拘束に動いているのです。
 
メディア関係者の相次ぐ拘束ですが、中国国内に多くの支局がある日本メディアにとっても決して対岸の火事ではありません。報道関係者には十分注意してもらいたいと思います。