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中国の人口問題が危機的状態に、国会ではなぜか第三子解禁が議論

海洋進出や香港問題、人権問題などを巡り、国際的孤立が進む中国。各国からの批判の声も日増しに高まっていますが、14億人という巨大市場が牽引する経済力を盾に、一歩も引かない姿勢を示しています。そんな中国が、最も危機感を感じているのは意外にも国内の人口減少なのかもしれません。
 
ご存知の通り、中国は1979年から2015年まで“一人っ子政策”を推し進めてきました。当時、中国は人口が増えすぎたことで危機的な食糧不足に陥っており、人口の増加を抑制する必要があったのです。そこで採られた苦肉の策が、一人っ子政策、つまり夫婦が生める子供の数を1人に制限する政策でした。
 
当然ながらその結果、中国では現在、高齢化が急速に進んでおり、2050年には高齢者数が5億人を突破するとみられています。つまり、1人の高齢者を3人で支えなければならない時代がやってくるのです。一方、制度改革が進んでいなかった年金や医療制度は日本に大きく遅れをとっており、今後、高齢者向けの支出が増えるため深刻な財政難に陥るとみられています。
 
 
 
こうした問題を解決するため、中国は5年前に一人っ子政策を廃止、2人まで子供を持つことを認めるようになります。ところが、共働き世帯が増加していることや、高騰する教育費への不安から子供を持つことを諦める世帯がしたことで、2019年に誕生した子供は過去最低の1465万人まで減少してしまいました。
 
これに焦った中国全国人民代表大会(日本の国会に相当)は、国内の少子高齢化を解決するため、夫婦間で第三子まで出産を認める“第三子開放案”の議論されているようです。第三子までもうけることを国家が認めることで、若い世代の人口を増やそうというのです。
 
今回の第三子開放案について、中国のネット上には、「一人っ子政策を廃止しても人口が増えない根本的な原因を政府は理解しているのか?」、「共働きで子供をどこにも預けられないことや、教育費の負担が重くて子供を作れないということが原因なのに国は全く現状を分かっていない」、「第二子解禁しても逆に人口が減少してるのに、第三子解禁を国家が認めてなぜ人口が増えると考えたのだろうか」といった意見が散見され、的外れな国の議論に厳しい声が多数寄せられています。
 
中国のアキレス腱となりつつある人口問題。しかしその議論は、子育て世代の実態を無視したまま進められています。このまま不毛な議論が行われていけば、中国は間違いなく世界最大の超高齢社会に突入することになるでしょう。