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激化する中国・オーストラリア関係、オーストラリア人アナウンサーが中国を擁護?

中国とオーストラリアの対立が深刻となっています。オーストラリアはこれまで、中国の海洋進出や人権問題を厳しく批判してきました。このため中国は、オーストラリア産商品の関税引き上げや中国で活動していたオーストリア国籍のアナウンサーの拘留といった報復措置を講じてきました。そんな両国に、新たな対立の火種が生まれてしまいました。
 
中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官が先月30日、自身のTwitter上に、オーストリア軍兵士がアフガニスタンの子供の首に刃物を突き立てるような画像を投稿し、オーストリアを厳しく非難。これに、モリソン豪首相が強く反発し、投稿された画像がフェイク画像だとして、中国政府に謝罪を要求する事態となっているのです。
 


 
そんな中、中国で人々の注目を集める出来事が起きました。中国広東省のテレビ局で英語版ニュース番組のアナウンサーをしているオーストラリア人のHazza氏は、中国とオーストラリアの間で問題となっている趙立堅報道官のツイートについて自身のTwitterを更新し、「趙立堅報道官に敬意を表します。オーストラリア人として今回の出来事はとても恥ずかしく、非常に申し訳ないと思っており、オーストラリア国籍を放棄することも考えています。オーストラリアに戻りたいとも思いません。オーストラリアの首相は、今回の出来事を反省してほしいと思います」と、中国の主張を全面的に支持する意見を表明したのです。
 
Hazza氏がこうした発言をする裏には、過去の事件が関係しているのかもしれません。今年8月、中国国営テレビCCTVの国際版ニュース番組で女性アナウンサーとして活躍していた中国系オーストラリア国籍の成蕾(チェン・レイ)氏が国に拘束される事件が発生しました。チェン氏が拘束された背景には、オーストラリア政府が、新型コロナウイルスの発生源を突き止めるため、国際調査団を中国に派遣するべきだという主張に対する報復措置と見られています。 
 
 
 
Hazza氏が自身のTwitterで中国を全面的に擁護する投稿したのは、中国当局に拘束されるのではないか、という危機感があったと考えられます。今も行方が分かっていないアナウンサーのチェン氏。Hazza氏の主張が本音であるかどうかの判断は、もう少し後に回すべきでしょう。