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親の面倒見ない子供は遺産相続なし!突然の発表に動揺広がる

生きているうちに一度は経験する遺産相続。日本の民法の規定では、配偶者が2分の1、子供はその残りを等分に分けることが明記されています。一方、よく耳にするトラブルとして、被相続人の生前、全く扶養義務を果たさなかった相続人であっても、法定通りの相続分を受け取れるというものです。つまり、親の面倒を見た相続人と見なかった相続人であっても民法では相続分を平等に分けることとなっているのです。
 
こうした中、中国では遺産相続に関して最高裁に当たる最高人民法院が、新たな解釈を発表したことに注目が集まっています。
 
最高人民法院は、「親の扶養義務を果たさなかった相続人について、遺産相続分を少なくする、もしくは相続分をなくすこととする」という内容の声明を発表したのです。
 
日本でも民法では、親族の扶養義務が明記されていますが、これはあくまで強制するものではなく余裕がある場合に限られます。そのため、この扶養義務の履行・不履行は遺産相続分に反映されることはないのです。
 
今回中国でこうした解釈が発表された背景には深刻な少子高齢社会への対策が狙いにあると考えられます。
《中国では一人暮らしの高齢者が増加し、家に他に誰もいない生活を送る老人という意味の空巣老人という言葉も生まれた》
 
中国では憲法に「家族の扶養扶助」が義務として明記されています。つまり、子供は親の面倒を見ることが義務付けられているのです。少子高齢社会となった中国ですが、医療費の増大が国家財政を圧迫してきました。そこで中国政府は、高齢者の親の面倒を子供に負わせるためこれまで様々な施策を行ってきました。
 
2013年に施行された「高齢者権益保障法」は、「子供は頻繁に帰省し親と会わなければならない」という内容で、これも間接的に親の面倒を子供が見ることを強制する法律となっています。
 
今回中国で始まる新たな遺産相続の制度ですが、「親の面倒を見る」という行為が履行されているかについて、どのような基準で判断するかは具体的な言及がなく、中国国内ではSNSに不安視する声が多く寄せられています。
 
高齢者問題の解決に子供の扶養義務を強制する形でアプローチする中国政府。こうしたやり方が通用するのか甚だ疑問が残ります。