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意外に知られていない中国の男女平等思想

日本では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長である森喜朗氏が女性蔑視ともとられる発言を行い、欧米メディアでも大きく取り上げられるなど波紋が広がっています。
 
実は今回のニュース、中国でも大きく報じられており中国国営メディア・人民日報電子版では、「東京オリンピック組織委員会主席、またも騒動。女性蔑視発言に国民が憤る」と大きく報じています。森喜朗元首相と言えば昨年9月、台湾の李登輝元総統の告別式に参加するため台湾を訪れ、蔡英文総統と菅首相との間で電話会談を行うよう働きかけたとして、中国外交部が名指しで厳しく批判してきました。中国にとっては因縁の人物でもあったのです。
《今回の出来事を報じる中国メディア》
 
 
今回の森元首相の発言を巡っては、中国版Twitter・ウェイボーでも大きな反響があり、注目記事にもランクインしています。ウェイボーだけでも1300万人のネットユーザーが閲覧した今回の出来事。中国のネットユーザーからは次のようなコメントが寄せられています。
 
「彼は女性から生まれたはずだよね?なんで女性をバカにする発言をしているのか理解出来ない」
 
「首相経験者である彼の言葉から、日本での女性の立場が低く追いやられている現実が垣間見える」
 
「この人の周りには間違いを正してくれる人が今までいなかったんだろうな。かわいそうな気もする」
 
男尊女卑社会かと思われる中国ですが、実は女性の社会進出は想像以上に進んでいます。中国国内では上場企業の約200社は、女性がCEOを務めており、さらに日本の国会にあたる全国人民代表大会では議員数約3000人に対し、女性議員は約750名となっており約25%が女性で占められており、日本の約10%より、高い水準となっています。
 
こうした背景には様々な要因がありますが、最も大きな要因には、「女性が天の半分を支える」と主張し女権運動や男女平等社会を実現しようとしていた毛沢東の存在が大きいと言えるでしょう。独裁者のイメージが強い毛沢東ですが、社会主義の名の下、男性同様、女性の社会進出を重要な政策として位置付けていたのです。
 
とは言え、現在の中国でも地方部では今も男尊女卑思想が色濃く残る場所も少なくありません。中国では男女平等社会の実現を後押しするため、2005年には《婦女権益保障法》という法律を改正し、「社会的・経済的・政治的・文化的・家庭における男女の権利は平等であり男女平等を国家の基本原則とし、女性に対する一切の差別を認めない」と、強い表現で女性の権利保護を国策としてきたのです。
 
中国では結婚後も夫婦別姓が一般的で、こうしたところにも中国の男女平等の思想が表れているのではないでしょうか。