周来友ブログ

周来友オフィシャルブログ

死者との結婚“冥婚”を巡り、男に死刑執行

中国や台湾など中華圏の一部の地域や東南アジアでは今も実際に存在する古来の風習が数多く存在しています。中でも、死者との結婚を意味する“冥婚”については、中国の農村部などで今も密かに行われています。特に多いのは、若くして未婚のまま亡くなった息子のため、その両親が若い女性の遺体を犯罪組織などから購入するというものです。
《イメージ画像》
 
今回、中国ではこの“冥婚”を巡り、1人の男性に対し死刑が執行され大きな注目を集めています。
 
事件は2016年にさかのぼります。この年、誘拐や人身売買の罪で服役していた馬宗華という男性が刑期を終え出所しました。男は出所すると、2名の女性を殺害し、その遺体を冥婚の儀式で使用を希望していた人物に売り多額の現金を手にしていたのです。
丸刈りの男性に死刑が執行された》
 
男は甘粛省西峰区に住む45歳と21歳の女性を誘拐し、鎮静剤を多量に注射し死亡させた後、陝西省に運び冥婚を行う予定だった人物に合わせて7.7万元(約120万円)で売り、その後、地元公安当局に逮捕されていました。
 
2019年に行われた裁判で、裁判所は男に対し「犯行動機が極めて身勝手で、犯行内容も極めて悪質。社会の安全に重大な危害を与え、前科も複数ある」ことを理由に死刑判決を下していました。その後、中国最高人民法院は2月8日、男に死刑が執行されたことを公表したのです。冥婚を巡る事件では、初の死刑執行となったのです。
 
中国では冥婚を巡る事件は農村部などを中心に数多く発生しています。鉱山などで危険な採掘仕事に従事する若者や、地方であるが故に医療サービスを享受出来ない若者が多い地方では、都市部に比べ若い人の死亡率が高く、伝統的な風習である冥婚が今も受け継がれてきたのです。その弊害として、中国では女性の遺体を売買するため、墓を荒らし遺体を掘り起こしたり、病死した女性の遺体を遺族が売り渡すという事件が発生しているのです。
 
日本では沖縄や東北部などの一部の地域で、この冥婚にあたる風習が今も存在していますが、儀式には絵馬や人形などが使用されています。人間の遺体を使って今も行われる中国の冥婚。負の伝統や風習を断ち切ることは決して簡単なことではないのです。