ミャンマー軍の背後に中国の影?米中対立の舞台はミャンマーへ
ミャンマーで発生した国軍によるクーデター。民主主義国家としての道を歩んでいる最中に起こったこのクーデターに対しては世界各国から非難の声が寄せられており、現地首都のヤンゴンでは、中国とミャンマー国軍の間に親密な関わりがあったのではないかと疑いを持つ市民が集まり、反中デモが行われています。
中国政府は外交部を通し、ミャンマーでのクーデターについて情勢を見守るべきであると肯定も否定もしない態度を貫いてきました。こうした中、米メディアはミャンマー国軍が中国国有企業から軍事兵器や武器などの提供を受けていたことを報じています。
記事では、ミャンマーの民間団体『Justice for Myanmar』が公開した報告について報じ、報告書にはミャンマー国軍に定期的に軍事兵器を提供してきた外国企業16社について伝えており、この内の5社が中国国有企業からのものだったことを明らかにしたのです。報告書にあげられたのは、中国北方工業公司(NORINCO)、中国航空工業集团(AVIC)、中国航天科技集团(CASC)、中国航天科工集团(CASIC)、中航技進出口有限责任公司(CATIC)の5つの中国企業でした。
同民間団体『Justice for Myanmar』によると、ミャンマー国軍に武器提供を行っていたとされる中国北方工業公司(NORINCO)について、ミャンマー国内で2つの鉱山を所有し銅などの採掘を行い、現地先住民への駆逐や環境汚染に関与していた可能性があると指摘しているのです。ミャンマー国軍は国会の承認などを得ずに中国との貿易を独自に行い、ここで得た多額の資金をもとに少数民族ラカインの武装勢力・アラカン軍と紛争を行ってきたことも指摘されているのです。
ミャンマー国軍はMEHL(Myanma Economic Holdings Limited)および、MEC(Myanmar Economic Corporation)という2つの軍資本企業を所有しており、こうした企業を通じ中国企業と貿易取引を行い、武器の購入や経済的利益を蓄えていたと言うのです。
米バイデン政権は、軍のトップを含む幹部らや、軍と関係が深い企業への制裁を発表しており、今後さらに厳しい制裁を科す構えです。
バイデン政権下でも一部踏襲されると見られるトランプ政権時代の対中政策は、今後の米中関係にどのように影響していくのか世界中の注目を集めています。今後、米中関係悪化の舞台がミャンマーとなる可能性もあるのではないでしょうか。