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中国報道官が中国のネット環境について失言?

音声SNSアプリ・Clubhouse(クラブハウス)ですが、中国でも短期間でしたが使用が可能とされ、多くの中国人がこのアプリを通じ、台湾や香港の人々と交流を持ったことも伝えられてきました。
 
ご存知のように中国では、LINE、You TubeTwitterGoogleFacebookなどの使用は不可能で、中国ではそれに代わるアプリなどが登場してきました。一部の中国人などはVPNなどを利用し、海外のネットやアプリを使用していました。しかし、VPNも今では取り締まりの対象とされており、ネット環境を厳しく制限する政府に対しては、国民の不満も高まっています。
 
こうした中、今月18日に中国で開かれた定例記者会見の中で、中国外交部の華春瑩報道官が発した言葉に中国のネットユーザーからは賛否両論の声が寄せられているようです。
記者会見の中で、米AP通信と米シンクタンク大西洋評議会(Atlantic Council)が行った共同調査で、中国政府がYou TubeTwitterFacebookなどを通じ、新型コロナウイルスアメリカで発生したなどの情報を大量に発信していたことが明らかになったという調査結果について、外国人記者が報道官に訊ねる一幕がありました。
 
この調査では2019年以来、中国からのSNSアカウント数が急増していたことも指摘されていました。
 
華春瑩報道官は記者の質問に対し、「アカウント数について言えば、どれだけ多くの海外メディアや外交官が微信(中国版LINE)や、ウェイボー(中国版Twitter)を利用してるのか分かっているのか?中国系のSNSは海外の人も利用できるのに、なぜ中国人がYou TubeTwitterFacebookなどを利用してはいけないのか?」と答え、中国人の利用者数が急増していることに何の問題もないと一蹴したのです。
 
こうした報道官の回答に対し、中国のネットユーザーからは、「中国人が海外のSNSを利用することに欧米諸国はなぜ文句を言うのか」と報道官を支持する声がある一方で、「中国では国内から海外のSNSを利用出来ないよう政府がアクセスを禁止しているのに報道官の答えには矛盾がある」と、報道官の回答に疑問を呈する声も寄せられているのです。
 
中国ではこれまで在外公館や外交官などは自身のTwitterアカウントを持ち、様々な情報を発信してきました。中国では使用が不可能であるはずのこうした海外系SNSを、一部の政府要人が特別に利用してきたことについて国内からも疑問の声が多く寄せられてきたのです。今回の報道官の回答は、中国人が海外SNSを使用することは権利であると主張する一方、政府が使用出来ないよう規制してきたという事実に矛盾する内容となっており、報道官が失言をしたのではないかと見るコメントも寄せられています。
 
経済的に大きな成長を遂げた中国ですが、ネット上ではこうしたインターネットの制限に対する不満の声も大きくなっています。今回の記者会見はまさに今の中国のネット環境を象徴する出来事となってしまいました。