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人気アプリ・Clubhouse(クラブハウス)、台湾で懸念広がる

日本のみならず世界で注目を集めている音声SNSアプリ・Clubhouse(クラブハウス)ですが、香港や台湾では今、メディアがその危険性を指摘し始めています。
 
 
 
 
台湾メディアはこのほど、Clubhouse(クラブハウス)は台湾でもユーザー数を急速に伸ばしているが、中国資本の企業が技術提供していたことが発覚したことから警戒感が高まっている、と報じました。
 
Clubhouse(クラブハウス)に音声技術を提供していたのは中国上海に本社を置く「Agora.io(声網)」。ビデオ通話やライブ配信に関する技術を研究開発している企業です。同社はアメリカやイギリス、インドにも支社を置くグローバル企業として知られ、昨年6月には米ナスダック市場に上場、世界でシェアを伸ばしてきました。
 
その同社がこれまで技術提供してきた企業には、フィリピン発のライブ配信アプリ「Kumm」や、  中国通信機器大手「シャオミ」、中国マッチングアプリ大手「陌陌科技(Momo Technology)」などが含まれています。
 
そんな中国企業が技術提供を行っているClubhouse(クラブハウス)の利用者が増えているということで、このところ中国と政治的な対立が大きくなっている台湾は、個人情報が漏洩するのではないかと危機感を高めているのです。
 
台湾与党民進党の幹部・郭国文は、「中国企業は中国の法規で、中国政府から要請があった場合、ユーザーの情報を提供することが義務付けられている。このため、個人情報が中国政府にわたり、台湾の安全を脅かす可能性がある」と、注意を呼びかけています。
 
情報社会となった今、世界中のアプリや情報ニュースを誰もが自由に利用できる時代となりました。しかし同時に、誰もがこうした情報を正しく理解・選択・活用できるわけではありません。こうした便利なツールによって、思考や行動をミスリードされないとも限らないのです。Clubhouse(クラブハウス)が政治的対立の道具として利用され、人々を誤った方向に導くようなことにならないと良いのですが。

意外に知られていない中国の男女平等思想

日本では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長である森喜朗氏が女性蔑視ともとられる発言を行い、欧米メディアでも大きく取り上げられるなど波紋が広がっています。
 
実は今回のニュース、中国でも大きく報じられており中国国営メディア・人民日報電子版では、「東京オリンピック組織委員会主席、またも騒動。女性蔑視発言に国民が憤る」と大きく報じています。森喜朗元首相と言えば昨年9月、台湾の李登輝元総統の告別式に参加するため台湾を訪れ、蔡英文総統と菅首相との間で電話会談を行うよう働きかけたとして、中国外交部が名指しで厳しく批判してきました。中国にとっては因縁の人物でもあったのです。
《今回の出来事を報じる中国メディア》
 
 
今回の森元首相の発言を巡っては、中国版Twitter・ウェイボーでも大きな反響があり、注目記事にもランクインしています。ウェイボーだけでも1300万人のネットユーザーが閲覧した今回の出来事。中国のネットユーザーからは次のようなコメントが寄せられています。
 
「彼は女性から生まれたはずだよね?なんで女性をバカにする発言をしているのか理解出来ない」
 
「首相経験者である彼の言葉から、日本での女性の立場が低く追いやられている現実が垣間見える」
 
「この人の周りには間違いを正してくれる人が今までいなかったんだろうな。かわいそうな気もする」
 
男尊女卑社会かと思われる中国ですが、実は女性の社会進出は想像以上に進んでいます。中国国内では上場企業の約200社は、女性がCEOを務めており、さらに日本の国会にあたる全国人民代表大会では議員数約3000人に対し、女性議員は約750名となっており約25%が女性で占められており、日本の約10%より、高い水準となっています。
 
こうした背景には様々な要因がありますが、最も大きな要因には、「女性が天の半分を支える」と主張し女権運動や男女平等社会を実現しようとしていた毛沢東の存在が大きいと言えるでしょう。独裁者のイメージが強い毛沢東ですが、社会主義の名の下、男性同様、女性の社会進出を重要な政策として位置付けていたのです。
 
とは言え、現在の中国でも地方部では今も男尊女卑思想が色濃く残る場所も少なくありません。中国では男女平等社会の実現を後押しするため、2005年には《婦女権益保障法》という法律を改正し、「社会的・経済的・政治的・文化的・家庭における男女の権利は平等であり男女平等を国家の基本原則とし、女性に対する一切の差別を認めない」と、強い表現で女性の権利保護を国策としてきたのです。
 
中国では結婚後も夫婦別姓が一般的で、こうしたところにも中国の男女平等の思想が表れているのではないでしょうか。
 

中国の“国家安全危害罪”、欠席裁判が可能に

香港大規模デモや、新型コロナウイルスをきっかけに日本でも知られるようになった中国の“国家安全危害罪”。該当する罪の範囲は広く、国家分裂・転覆を企む行為や対中工作機関への協力、国家機密の入手など、対象となる行為は多岐に渡っています。
 
こうした中、中国の最高裁判所に当たる最高人民法院は本日付けで、“国家安全危害罪”について、被告が裁判を欠席する欠席裁判であっても審議を行うことを発表しました。
 
 
今回の取り組みの狙いは、主に海外へ逃亡している国家公務員への圧力強化と見られています。中国では汚職などの違法行為を行った公務員が当局からの調査を逃れるため、アメリカやカナダ、ヨーロッパ、オーストラリアに逃亡する事件が相次いで発生しており、中国政府は対応に苦慮してきました。特に、こうした公職者は逃亡先国家で市民権を得るため、中国の国家機密などを手土産に逃亡するということが珍しくないのです。
 
中国では習近平政権発足後、汚職事件に対し厳しい対応を行っており、無期懲役や死刑判決など厳しい判決が下されてきました。今回の厳しい措置によって、公職者の違法行為や海外逃亡を未然に防ぎ、さらに海外逃亡した公職者に対し改めて強いメッセージを伝える狙いがあるのでしょう。
 
中国国営メディアでは、1990年から少なくとも2万人以上の公職者が海外逃亡を行い、持ち出した資産は合わせて日本円で17兆円以上に上ることが報じられてきました。
 
今回の措置によって、中国政府が諸外国との間で逃亡公職者の引き渡しが行われた場合、中国入国後即、刑が執行されることにもなります。“国家安全危害罪”は、中国人のみならず外国籍の人間も対象であることを忘れてはいけません。
 

《海外逃亡の末、中国に身柄を引き渡された元公職者》

渋谷区が高齢者にスマホの無償貸与を開始、一方中国は?

東京都渋谷区は、区内に住む高齢者に対し、スマートフォン約3000台を無償貸与する方針を発表しました。通信・通話料は区が負担し、スマホの使い方を説明する高齢者向けの講習会も開催すると報じられています。災害時の情報格差解消や高齢者の健康促進にスマホを活用したい狙いがあります。
 
高齢者の中にはスマートフォンを使いこなす人は多くいますが、携帯ショップに連日使用方法を聞くために押し寄せる高齢者を見ていると、渋谷区の取り組みは中々ハードルが高いのではないかという印象を受けます。一方、お隣の中国では高齢者がどの程度、スマホを使用しているかについてメディアが報じています。
 
中国の政府機関・中国互連網絡信息中心が本日公表した中国国内におけるインターネットの使用状況についてまとめた『中国互連網絡発展状況統計報告』では、昨年12月の時点で中国国内のインターネット人口が9.89億人に達し世界最大のネット人口国家となったと伝えています。

《中国では行政主導でボランティアの若者が高齢者にスマホの使い方を教える取り組みも各地で行われている》
 
 
人口の70.4%が日常的にインターネットを利用しているという結果となった中国。ECサイトの発展や、路面商店・ネットショップでのQRコードによる支払いシステムの一般化など、この数年で中国社会はすっかりIT社会となったと言っても過言ではありません。中国ではすっかりガラケーは姿を消し、現在国内での利用者数は約1800万人ほどとなっています。
 
こうしたことからも中国では、幅広い世代でスマホが浸透していることが分かります。報告によると、中国の50歳以上では人口が約3億人いる中で、約2.6億人が日常的にインターネットをスマホやPCなどで利用しており、比較的高齢の人々たちでもインターネットを利用しているという実態が分かります。
 
中国では消費行動や病院受診、旅行、コロナ禍での健康コードアプリなど、年齢を問わず様々な場面でスマートフォンやインターネットの利用が求められます。高齢者であってもこうした状況に迫られ、ネット社会の一員となることが求められるのです。
 
とは言え、スマホやインターネットの利用が出来なければ事実上社会から締め出されるという厳しい現実があります。渋谷区の取り組みには賛否両論がありますが、中国と比べればはるかに優しい社会のように思えます。
 

ミャンマーの軍事クーデター、発生直前に中国外相が軍部と会談

今月1日、歴史がまた大きく動きました。ミャンマーで軍部によるクーデターが発生したのです。ミャンマー国軍は昨日未明、選挙での不正を理由に軍事クーデターを起こし政権を掌握したことを発表しました。与党・国民民主連盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏や、ウィン・ミン大統領などを拘束したことも発表されています。
実は今回の軍事クーデターが発生する数日前、中国の王毅外相が、ミャンマー軍トップで司令官のミン・アウン・フライン氏と会談していたことをご存知でしょうか。
 
中国国営メディア・新華社通信(1月12日付け)は1月12日、王毅外相がミャンマーを訪問し、ミャンマー軍総司令官のミン・アウン・フライン氏と、中国・ミャンマー関係の強化などについて会談していたことを報じています。
この会談で王毅外相は、「ミャンマー軍がミャンマー国内の民族振興に大きな役割を果たしてきたこと」、「中国・ミャンマー両国は運命共同体であり将来的発展のため、伝統的な友好関係を堅持していく」ことなどを確認し、さらなる関係強化を提言していました。
 
さらに王毅外相は、ミャンマー軍について「ミャンマー軍がミャンマー国家の発展のため積極的な作用を発揮し積極的に貢献することを支持していく」とも発言しています。
 
一方、ミン・アウン・フライン軍総司令官は、王毅外相に対し、「中国との関係強化の他、台湾問題・香港問題・ウイグル問題で中国側の立場を継続して支持していく」と、政治的・経済的に中国との結び付きを強めたい趣旨の発言をしています。
 
コロナ禍にある現在、世界各国を積極的に歴訪している中国の王毅外相ですが、ミャンマーで軍部トップとの会談を行なっていました。すでに中国側はこの時、軍事クーデターによる政変を何らかの形で察知していたのかもしれません。
 
ミャンマーでの軍事クーデターは、中国にとっては朗報と言えるでしょう。ミャンマーでは2011年から民政移管が開始され、民主化が徐々に進んできました。その一方で、中国資本の流入によって職を奪われる市民が出るなど、中国に対する反中感情が徐々に表面化し、反中デモなども度々行われてきました。
 
中国はミャンマーが軍事政権となることでミャンマーに対し、政治・経済的に強い影響力を保持することが可能となり、中国が推し進めている一帯一路構想でも、重要な拠点となるミャンマーに対し、影響力を及ぼすことが可能となるのです。
 
また、今回のクーデターにより、西側諸国の注目を当分の間、ミャンマーに引きつけることができます。現在、WHOによるコロナウイルスの調査が中国で行われ、さらに台湾への強行姿勢によって、世界各国からの冷たい視線が中国に集まっていました。今回のミャンマーで突然発生した軍事クーデターの影には、様々な国々の思惑も作用していたのかもしれません。