周来友ブログ

周来友オフィシャルブログ

中国の“国家安全危害罪”、欠席裁判が可能に

香港大規模デモや、新型コロナウイルスをきっかけに日本でも知られるようになった中国の“国家安全危害罪”。該当する罪の範囲は広く、国家分裂・転覆を企む行為や対中工作機関への協力、国家機密の入手など、対象となる行為は多岐に渡っています。
 
こうした中、中国の最高裁判所に当たる最高人民法院は本日付けで、“国家安全危害罪”について、被告が裁判を欠席する欠席裁判であっても審議を行うことを発表しました。
 
 
今回の取り組みの狙いは、主に海外へ逃亡している国家公務員への圧力強化と見られています。中国では汚職などの違法行為を行った公務員が当局からの調査を逃れるため、アメリカやカナダ、ヨーロッパ、オーストラリアに逃亡する事件が相次いで発生しており、中国政府は対応に苦慮してきました。特に、こうした公職者は逃亡先国家で市民権を得るため、中国の国家機密などを手土産に逃亡するということが珍しくないのです。
 
中国では習近平政権発足後、汚職事件に対し厳しい対応を行っており、無期懲役や死刑判決など厳しい判決が下されてきました。今回の厳しい措置によって、公職者の違法行為や海外逃亡を未然に防ぎ、さらに海外逃亡した公職者に対し改めて強いメッセージを伝える狙いがあるのでしょう。
 
中国国営メディアでは、1990年から少なくとも2万人以上の公職者が海外逃亡を行い、持ち出した資産は合わせて日本円で17兆円以上に上ることが報じられてきました。
 
今回の措置によって、中国政府が諸外国との間で逃亡公職者の引き渡しが行われた場合、中国入国後即、刑が執行されることにもなります。“国家安全危害罪”は、中国人のみならず外国籍の人間も対象であることを忘れてはいけません。
 

《海外逃亡の末、中国に身柄を引き渡された元公職者》