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英BBC放送、中国での放送免許取消へ

イギリス公共放送BBCと中国政府の対立はいよいよ決定的なものとなりました。ご存知の通り、イギリスBBC放送は、新型コロナウイルスの発生源や新疆ウイグル自治区における人権問題などについて厳しく中国政府の対応を批判してきました。中国政府は新型コロナウイルスの発生源が中国であるとする報道や、新疆ウイグル自治区の人権問題について捏造されたフェイクニュースであると否定してきたのです。
 
こうした中、中国国内のテレビやラジオなどを管理監督する国家広播電視総局は、BBCの国際放送・ワールドニュースについて、中国国内での放送免許の取り消しを発表したのです。中国政府の事実上の報復措置と見られます。BBC放送はこれまでに新型コロナウイルスの名称について、“武漢肺炎”と地名を名指しして報じた他、“百毒不侵(中国には新年の言葉よりどんな毒にも侵されないという言葉がお似合いだ)”と、中国を皮肉る言葉を挙げ、中国を批判してきました。
その後もBBC放送は、中国に対し厳しい報道姿勢を貫いてきました。今月12日、BBC放送はオーストラリアの観光地の状況について報じ、この報道の中にも中国に対する差別的な言葉があったとして、環球時報など中国国営メディアなどが、「BBCが再び中国を挑発」と厳しく報じています。
 
BBC放送が報じた記事の中には、オーストラリアの観光地に現地在住の多くの中国人たちが訪れ、現地の住民たちに迷惑を掛けているというニュアンスが含まれていたのです。こうしたBBC放送の姿勢に対し、中国国内のメディアやネットユーザーからは非難の声が寄せられているのです。
中国と海外メディアの関係性については、中国は厳しく海外メディアの報道を検閲し、内容によっては中国国内でのメディア支局の追放や、記者ビザの取り消し措置など非常に厳しい対応を行ってきました。以前、日本の産経新聞は北京を追放されたこともありました。中国各地に多くの支局を置く日本のメディアにとっても、こうした事件は決して対岸の火事ではないのです。覇権主義を掲げる中国をどのように報じるのか、権力の監視機能を持つメディアの役割が今まさに試されているです。

黒人差別から3年、今年の春晩は独身者に対する蔑視で炎上

本日から春節を向かてている中国では、毎年恒例となっている“春晩”も放送されました。春晩とは、日本の紅白歌合戦のように国営放送CCTV春節の前日の大晦日に放送する特別番組で、人気アイドルや俳優・歌手が出演し、音楽・ダンス・ドラマなどが中継されるのです。近年ではインターネット配信の影響もあり、毎年10億人以上の中国国民や世界中の華僑たちが視聴していると言われているのです。
 
ところが、最近ではこの春晩の演出などを巡り、ネットユーザーたちの怒りを買い炎上するという出来事が多発していました。今年も例外に漏れず、春晩で放送されたドラマに厳しい意見が寄せられているようです。
 
ネットユーザーたちの怒りを買ってしまったドラマは、『休みの度に結婚を催促される』というタイトルの春節特別ドラマで、年老いた両親が未婚の適齢期を迎えた子供に結婚を催促するという内容でした。一見すると、コメディドラマのように思えますが、両親の子供に対する辛辣なセリフが物議を醸しているのです。

「うちの娘は28歳で未だに恋人もいないなんて」
「独身の犬野郎」
「結婚してダメだったら離婚してまた結婚すればいい」
 
中国では仕事や経済的な問題から結婚をしないという選択肢を選ぶ若者が増えていることから、独身者を痛烈に批判する今回のドラマのセリフに反感を覚える人が多かったのです。ネットユーザーからは、「独身であることをなぜバカにされたり嘲笑の対象とされるのか理解できない」「独身は犯罪であると言いたいのか」など、反発のコメントが多く投稿されています。
 
実は春晩がネットで炎上したのはこれが初めてではありません。2018年に放送された春晩では、演出の一部に黒人に対する人種差別があったとして、欧米メディアでも大きく報じられる事態となりました。当時放送された春晩の寸劇では、アフリカ系黒人出演者と共に、顔を黒塗りにした中国人女優が歌やダンスを披露しながら、アフリカでの中国による鉄道建設に感謝する場面や、黒人女性が中国人富裕層と結婚することを切望する場面などが描かれ、黒人の肌の色を大袈裟に表現する内容や、アフリカ地域を見下すような演出が人種差別だとして問題視されたのです。
3年前は人種差別と批判された春晩ですが、今年は独身者に対する蔑視が批判される結果となりました。果たして来年はどうなることでしょう。

今年もレンタル彼女が大盛況か、犯罪への懸念も

明日から春節を迎える中国。今日は大晦日のため、多くの人は休日となり、実質的に今日から大型連休に突入しました。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、中国政府は帰省の自粛を呼び掛け、交通に関しても各社が無償でのチケット返還を行なっています。感染拡大が懸念される中、中国では今年も“レンタル彼女”によるトラブルも懸念されています。
 
中国では数年前からアプリ上で“租女友”と呼ばれるレンタル彼女を提供するサービスが流行っており、特にこの春節はレンタル料金が高騰することでも知られています。結婚適齢期を迎えた独身男性にとって、春節の里帰りは親や親戚から結婚話について追求されてしまう頭痛のタネともなっています。

そんな独身男性が利用するのがこのレンタル彼女なのです。レンタル彼女を自身の恋人として実家の家族に紹介することで、一時的に家族からの結婚話を回避し親を安心させることができるのです。
 
実際に中国国内のスマホアプリストアを見てみると、数多くのレンタル彼女専用アプリが確認できます。すでにこうしたアプリの多くでは、春節専用価格が表示されており、1日当たり1200元〜1万元(約2万円〜16万円)となっています。金額は女性の学歴や容姿などによってランク付けされており、条件の良い女性ほど高い金額でレンタルされることとなるのです。

しかし、このレンタル彼女サービス、最近では様々な犯罪の温床となっていることも指摘されているのです。こうしたアプリサービスの提供者の中にはレンタル彼女サービスを利用しようとする男性から、利用料金だけを送金させ姿をくらます詐欺事件や、女性が利用者から性的暴行を受ける性犯罪事件が数多く報告されるようになりました。
 
さらには習近平政権後、中国では厳格に禁止されている性風俗や売買春が、こうしたアプリを通じ当局の管理の目をくぐり抜け、形を変えて存在していることも問題となっているのです。
 
今年も多くの国営メディアなどが、レンタル彼女を利用した犯罪行為は《治安管理処罰法》に該当し、重罪となることを繰り返し報じています。グレービジネスとなりつつある中国のレンタル彼女サービス。コロナ禍にあってもその勢いはまだまだ続きそうです。

クラブハウスに続き、台湾で中国製お掃除ロボットに警戒感?

先日、今日本でも大きな話題となっている音声共有アプリ・クラブハウスについて、台湾では音声技術を提供している企業が中国であったため、警戒感が高まっていることをお伝えしました。

 

 

 

 

 
そうした中、台湾メディアはクラブハウスに続き、中国製のお掃除ロボットに登録されたユーザーの個人情報について、密かに中国の諜報機関が個人情報を入手しているのではないかという疑惑を報じています。
 
 
今回、こうした疑惑が持ち上がったのは台湾左派政党で台湾与党民進党とも比較的近い立場にある台湾基進党が本日行った記者会見がきっかけでした。この記者会見に臨んだ同党所属で台湾議会議員でもある陳柏惟氏は、「中国製お掃除ロボットについて、専門家との調査の結果、ロボットが意図的にファイアウォールを破り外部と通信している形跡が見つかった。ロボットが購入者の自宅の間取り情報や、操作のためスマートフォンにダウンロードしたアプリを通じ、スマートフォン内の個人情報が外部に漏洩している可能性がある」と、発言したのです。
 
 
台湾基進党は今後、台湾ではアメリカに倣い「クリーンネットワーク」を導入していくとを政府に呼びかけていくとしています。クリーンネットワークとは、米トランプ前政権が昨年8月提唱したもので、米市民や米企業のプライバシーや企業秘密を中国共産党から守るために米国から中国製通信機器や中国系通信サービスを排除する体制を意味しています。これにより、アメリカ政府は市民に対し中国系通信機器やクラウドサービスなどを利用しないよう呼び掛けてきたのです。
 
こうした台湾側の動きに対し、中国国営メディア・環球時報は中国国内のネットユーザーのコメントを引用し、「頭に穴でも空いているのではないか」と厳しい表現で否定しています。
 
クラブハウスだけでなく、中国製お掃除ロボットに対しても警戒を呼びかける台湾政党。今後台湾ではさらに詳しい調査が行われることになるでしょう。

死者との結婚“冥婚”を巡り、男に死刑執行

中国や台湾など中華圏の一部の地域や東南アジアでは今も実際に存在する古来の風習が数多く存在しています。中でも、死者との結婚を意味する“冥婚”については、中国の農村部などで今も密かに行われています。特に多いのは、若くして未婚のまま亡くなった息子のため、その両親が若い女性の遺体を犯罪組織などから購入するというものです。
《イメージ画像》
 
今回、中国ではこの“冥婚”を巡り、1人の男性に対し死刑が執行され大きな注目を集めています。
 
事件は2016年にさかのぼります。この年、誘拐や人身売買の罪で服役していた馬宗華という男性が刑期を終え出所しました。男は出所すると、2名の女性を殺害し、その遺体を冥婚の儀式で使用を希望していた人物に売り多額の現金を手にしていたのです。
丸刈りの男性に死刑が執行された》
 
男は甘粛省西峰区に住む45歳と21歳の女性を誘拐し、鎮静剤を多量に注射し死亡させた後、陝西省に運び冥婚を行う予定だった人物に合わせて7.7万元(約120万円)で売り、その後、地元公安当局に逮捕されていました。
 
2019年に行われた裁判で、裁判所は男に対し「犯行動機が極めて身勝手で、犯行内容も極めて悪質。社会の安全に重大な危害を与え、前科も複数ある」ことを理由に死刑判決を下していました。その後、中国最高人民法院は2月8日、男に死刑が執行されたことを公表したのです。冥婚を巡る事件では、初の死刑執行となったのです。
 
中国では冥婚を巡る事件は農村部などを中心に数多く発生しています。鉱山などで危険な採掘仕事に従事する若者や、地方であるが故に医療サービスを享受出来ない若者が多い地方では、都市部に比べ若い人の死亡率が高く、伝統的な風習である冥婚が今も受け継がれてきたのです。その弊害として、中国では女性の遺体を売買するため、墓を荒らし遺体を掘り起こしたり、病死した女性の遺体を遺族が売り渡すという事件が発生しているのです。
 
日本では沖縄や東北部などの一部の地域で、この冥婚にあたる風習が今も存在していますが、儀式には絵馬や人形などが使用されています。人間の遺体を使って今も行われる中国の冥婚。負の伝統や風習を断ち切ることは決して簡単なことではないのです。