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香港デモ、アップルに迫る中国

今月8日、中国国営メディアの人民日報が声明を発表、香港のデモ参加者が警察の動きを把握するために使用している「HKmap.live」というiOSアプリについて「暴徒を助けるようなアプリを作った者が何を考えているのか伺い知れない」と強い不満を表明しました。


HKmap.liveとは香港のオンラインマップのことで、警察がどこに出現したかや、警察が使用した武器に関する情報がリアルタイムで更新されるシステムとなっています。香港デモ参加者たちは、これまでこの地図アプリを使って警察当局と対峙してきました。

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《すでにアプリストアから削除されている》

 

つまり、中国政府や香港当局にとって、こうしたアプリの存在はデモ鎮圧の大きな障害となるわけです。このため中国の国営メディアは、暗にアップルにアプリの削除を求めてきました。9日に開かれた中国外交部の記者会見で、同アプリの削除をアップル社に要請したか質問された耿爽(こう そう)報道官が「詳しい状況については答えられないが、良識と正義感があるならば、香港で行われている暴力行為、犯罪行為に反対することは当然である」と香港で起こっている破壊行為に対する批判でアプリの削除要請については言葉を濁しました。


一方、人民日報から批判を受けたアップルはその翌日9日にこのアプリをアプリストアから削除し、「香港当局や香港市民の安全を確保するための措置」であることが削除の理由だと説明しました。実はこのアプリ、9月にも一度削除され、その後今月6日に再び配信が許可されていたという過去があったため、各国メディアはこうしてアップルの迷走を厳しく非難しています。


これまでFaceBookTwitterが、中国当局が大量のアカウントを利用しニセの情報を拡散しているとして数万のアカウントを凍結し、中国政府への反発姿勢を示してきました。FaceBookTwitterはもともと中国国内で利用できないため、中国からの報復を恐れる必要がなく、それが強気の姿勢に繋がっているとみられます。しかし、アップルにとって中国はiPhoneシリーズの貴重な市場であり生産国でもあります。このため中国との関係を良好に保ちたいという意識が働き、強気の姿勢に出られないのでしょう。次々と香港デモに巻き込まれるアメリ企業。しかし日本にとっても決して対岸の火事ではありません。