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香港デモ 10月23日に大きな動きか

未だ収束の見通しが立たない香港のデモですが、そんな中、台湾政府が香港政府に「No」を突きつけました。台湾内政部トップの徐国勇氏がメディアの取材に対し「香港人香港人を殺した。なぜ香港当局は自ら審判を下さないのか」と、香港政府のやり方を間接的に批判したのです。
 
今回の発言を紐解く前に、香港デモのきっかけとなった事件をご紹介します。その事件が起きたのは2018年のこと。カップルで台湾を旅行していた香港人の男性が相手の香港人女性を殺害してしまいます。男性はその直後香港に戻っため、香港当局の元で事情聴取を受けることになりましたが、台湾当局は当初、台湾で発生した殺人事件だったこともあり、香港当局に容疑者の引き渡しを要求していました。しかし、香港当局は台湾との間に容疑者引き渡しの司法協定がないことを理由に台湾の申し出を拒否します。とは言え、香港では台湾で発生した殺人事件を裁くことが出来ません。そこで香港政府は、協定がなくても逃亡犯や重大事件の容疑者を他国に引き渡せるよう、条例を改訂しようとしました。しかし、この条例案が中国大陸へも犯人の引渡しを可能とする内容となっていたため、香港市民は一国二制度で司法の独立を約束されている香港の主権が侵されると危機感を覚え、条例案に反対するデモを起こしたのです。
 
《香港デモのきっかとなったカップル(左)と、今回メディアの取材に応じた台湾の徐国勇内政部長》
 
台湾内政部トップの徐国勇氏が今回の発言をした背景には、「もし香港当局が犯人を台湾に引き渡すことになれば、この逃亡犯条例が実行に移されてしまうことになり、既成事実ができ上がってしまう」という危機感が台湾にあるからです。
 
台湾当局は当初、香港政府に対して容疑者を台湾に引き渡すよう要求していましたが、今回の大規模デモ発生後は、一貫して台湾への引き渡しを拒否する態度を見せています。容疑者の男は香港でクレジットカードの不正利用など別件で逮捕されており、今月23日に釈放されることになっています。男は釈放後、台湾へ自首することをほのめかしており、香港社会は今、大きな緊張に包まれています。