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六七暴動から50年、香港で緊急法が発動

10月1日国慶節を迎えた中国では建国70周年の大規模軍事パレードが行われ、国内外に大国としての威厳を示す形となりました。しかし、この日香港ではこれに反発するかのように、多くの市民が大規模デモを敢行。その結果、香港警察が正当防衛として高校生に実弾を発射するなど、ショッキングな事件も発生してしまいました。

 

 

中国にとっては建国70周年の祝賀ムードに水を差される結果となり、また香港政府にとっても中国政府の顔に泥を塗ってしまうこととなった今回のデモ。ついに香港政府は鎮圧に向け、強権体制で臨むことを明らかにします。

 

香港メディアは先ほど速報で、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官がデモ隊壊滅に向け「緊急状況規則条例(緊急法)」の発動を宣言したと報じました。緊急法とは、香港社会の利益が損なわれ社会に悪影響を与える可能性があるような場合に緊急的に発布する法律のことです。

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香港政府は本日、この緊急法としてデモや集会でマスク、目出し帽、ガスマスクを着用することを禁止する「マスク禁止法」を施行しました。この法律によって、これまで香港デモ隊の象徴だった黒マスクの着用が認められないこととなります。香港デモ隊は、これまでデモの象徴として黒マスクを着用してきましたが、そこには警察の監視カメラから顔を隠し身分の特定を避けるという狙いもありました。香港政府には、顔を隠せない状況にすることでデモ隊の参加者を減らしたいという思惑があったのでです。違反者には最高で懲役1年の実刑判決が下る可能性もあり、香港市民からは怒りの声が高まっています。

 

前回、緊急法が発動されたのは1967年の“六七暴動”のときでした。この暴動は、当時、共産主義支持派がイギリス傘下だった香港政府と衝突し、51名が死亡するという大規模な政治暴動へと発展した事件です。このとき、政府は緊急法を発動し多くの共産主義者を逮捕し、暴動を収束させたのです。

 

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《1967年に香港で起きた暴動。当時の香港警察と対峙する共産主義支援者たち》


すでに死亡者も出ていると報じられている今回の大規模デモ。マスク禁止を皮切りに今後ますます締め付けが強化されていくことになるでしょう。