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一つの中国を巡り、中華版アカデミー賞に危機

中華圏のアカデミー賞と言われる金馬奨(ゴールデンホース・アワード)。今年56回目となるその受賞式が来月台湾で開催されますが、今年は政治に翻弄され、波乱含みの式となりそうです。

 

イギリス・ロンドン発祥の高級ブランド“AllSaints”が今月28日、金馬奨から撤退することを明らかにしました。AllSaintsは金馬奨とコラボしたTシャツを販売するなど協賛企業として、金馬奨開催を後押ししてきました。ところが昨日発表された声明でAllSaintsは「“一つの中国”の原則に則り、金馬奨から撤退することとした。中国人の国民感情を尊重する」として撤退を表明したのです。

 

《AllSaintsが販売していたTシャツと今回の声明文》

 

この金馬奨は台湾で毎年開催されてきましたが、昨年行われた金馬奨の受賞イベントで台湾人映画監督が台湾の独立に言及したことで中国政府が激怒し、中国の映画作品を出品しない方針を明らかにしていました。

 

それだけでは満足せず、中国はさらに国内企業はもちろん、海外企業に対しても金馬奨に協賛しないよう圧力をかけてきたのです。このため、高級ファッションブランド・BVLGARIや、高級スポーツカーブランド・マセラティもAllSaintsと同じ理由で、今年の金馬奨への協賛を取り止めています。

 

一つの中国を巡る問題が、いよいよ芸術分野にまで影響を及ぼすようになってきたと言えるでしょう。日本でも知名度の高いビビアン・スーさんらも過去の親日発言などが原因で中国大陸での芸能活動が制限されるなど、芸術・芸能分野への影響は拡大を続けています。

 

 

芸術交流や人的交流までも制限するようになった中国の政治問題。隣国である日本でもこの問題についてぜひ考えてほしいと思います。