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中国で急増する怪しい速読塾に政府が異例の禁止令

中国では経済成長に伴い大学進学率が大幅に上昇し、現在その比率は42%に達しました。すっかり高学歴社会となり、受験戦争も加熱している中国では、子供にいくつもの習い事をさせる家庭も多く、家計に占める教育費の割合も上昇を続けています。

 

そんな中国で最近話題となっている子供向けの習い事が「速読」です。中でも中国深セン市などで人気を博しているのが、「量子速読術」と呼ばれる速読術で、中国メディアは、この速読術を身につけると1〜5分間になんと10万文字以上の内容を理解し記憶できるなどと報じました。

 

 

 



ところがこの度、中国政府は多くのメディアが報じたこの新手の速読術について「科学的根拠がなく、人々を騙している。速読塾の中にはフランチャイズ経営権と称して、保護者たちから多額の金を騙し取った疑いのあるところもある」と、異例とも言える声明を発表しました。

 

浙江省深セン市ではすでに、違法な資金集めをしていたとして、いくつかの速読塾の運営企業が家宅捜索を受けており、「沐憶学堂」と呼ばれる速読塾のように「電波を使って脳を刺激し、速読能力を向上させる」といったウソの宣伝をしていたところもあったようです。このため行政も子供を速読塾へ通わせないよう保護者たちに呼びかけるなど、注意を促しています。

 

 

日本でも関連本が多く販売され、中には児童向けの専門書籍もある速読。個人的には、子供には創造性や感性を豊かになるような本を時間をかけて楽しく読んでほしいと思っていますが、中国でこうした速読塾が流行ってしまう背景には、厳しい学歴社会を生き抜くために子供にたくさんの知識を詰め込んでほしいという親心があるのかもしれません。