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中国ではクリスマス禁止?政府の通知に警戒の声も

今年のクリスマス、皆さんはどのように過ごされたのでしょうか。中国ではクリスマスのことを「平安夜」「聖誕節」という漢字で表し、日本と同じように家族や友人、恋人と過ごす人も多くいます。元々はキリスト教由来の行事であるクリスマスですが、どうやら中国ではこのクリスマス文化に対しても、警戒の動きを見せてるようです。
 
中国国内の宗教団体や宗教問題を監督・管轄する中国国務院の直属機関「国家宗教局」は今年のクリスマスに、公式サイトでお祝いの言葉を発表しました。しかし、その中には中国のキリスト教徒に対する強い政治的メッセージも含まれており、海外メディアからは警戒の声が寄せられています。
 
カトリック教・キリスト教の皆さんへ  この一年でカトリック教やキリスト教の関係者や信者の皆さんは習近平同志を核心とする党中央の前に一致団結し、習近平時代の特色ある社会主義思想について、しっかり学んできてくれました。2020年も、カトリック教・キリスト教の皆さんが継続して習近平思想を深く学習し、中華民族の偉大な復興のために力を尽くし貢献してほしいと思います」
 
《国家宗教局が実際に発表した文章、お祝いのメッセージのはずだが、なぜか社会主義という言葉が何度と登場する》
 
中国国内には現在、キリスト教徒が約6000万人、カトリック教徒が約1000万人存在していると言われています。これは中国国内の共産党員の数(約9000万人)に匹敵する人数です。中国政府としては、国内のキリスト教徒やカトリック教徒に対し、政権への協力を呼び掛けることで、宗教人口を政権側に取り込みたいという思惑があります。
 
こうした一方、中国の地方政府では中央政府に忖度するかのような動きも確認できます。湖南省衝陽市では地元政府が地元共産党幹部に対し、「西洋文化の記念日を過ごすようなことはせず、党幹部は中華伝統文化を率先して発展させるように行動しなければならない」と、通知を発布しました。また、貴州省では学校内でクリスマスのイベントを行うことを禁止し、賛美歌などを歌うことも禁止する通知を発布しています。
 
中国政府は、本音としては政権運営に不安定要素をもたらす「宗教」そのものを、国内から排除したい思いがありますが、そんなことをすれば当然ながら国際社会から宗教弾圧・人権弾圧という批判が高まることは必至です。そうした事情もあり、排除したい思いを持ちつつも、協力を呼び掛けているというジレンマに陥っているのです。近年、中国政府とバチカンとの急激な接近にも警戒の声が高まっています。国内の宗教を掌握したい中国に、国際社会は今後どのような対応をしていくのか注目が集まっています。