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南京事件から82周年の式典が開催

日本のメディアではほとんど報じられていませんが、今日中国では南京事件(中国では南京大虐殺)82周年の平和式典が行われました。日中戦争最中の1937年12月13日、旧日本軍は南京を攻略後、南京市内を流れる揚子江沿岸部に中国人市民を集め、機関銃で多くの人を殺害したとされています。この他にも焼き討ちや強姦などが行われていたという証言もありますが、残念ながら戦後70年経った今も詳しい真相は明らかになっていません。

 

南京市にある“南京大虐殺記念館”で今日の午前8時から行われた追悼式典では、中国軍による国旗掲揚や黙祷が行われた後、政府高官による演説がありました。現在、香港やウイグルの問題やアメリカとの貿易摩擦などにより、世界から厳しい目を向けられている中国。このため式典の演説では、多くの中国人市民が虐殺されたことが強調された一方で、日中関係が順調に改善に向かっていることをアピールする言葉が添えられるなど、これまでにない内容のものとなりました。

 

 

 


今月24日からは中国成都市で日中韓首脳会談が行われ、安倍首相と習近平国家主席による2カ国会談も実現します。これに加え、来年春には日本政府が国賓として習近平国家主席を招くことが決まっています。国際的な批判によって孤立する中国にとって、日本との関係改善は政治的にも経済的にも押さえておきたい課題なのです。今回の式典では日本への批判のトーンが大幅に引き下げられたのも、そのためと言えるでしょう。

 

南京事件の内容を巡っては、日中で見解の相違が多数存在しています。特に虐殺された人の数については、中国が公式に30万人と主張する一方、日本には数千人だという主張や、中には南京虐殺自体存在しなかったと驚くような主張もあります。

 

戦後70年以上が経過し、当事者たちが亡くなっていく中、事実の検証はますます難しくなっています。しかし、日中の専門機関や大学による共同研究が進めば、南京で何があったのか真相が明らかになる日もくるかもしれません。戦争では日本も原爆や大空襲によって多くの尊い命が失われましたが、こうした戦争の痛みを知る日本と中国がいつか本当に寄り添いあえる関係となれる日が来ることを願っています。