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500ドットコム事件の背景に、中国国有企業の存在?

東京地検特捜部は今月25日、カジノを含む統合型リゾート(IR)への参入を目指していた中国企業「500ドットコム」から賄賂を受け取っていたとして、秋元司容疑者(48)を収賄容疑で逮捕しました。秋元容疑者はIR担当の内閣府副大臣などの要職を歴任していました。


中国企業「500ドットコム」ですが、この会社の経営の実態などについては、詳しい報道もなく謎の多い事件という印象が大きいのではないでしょうか。中国政府との関係も取り沙汰されている同企業の経歴についてご紹介したいと思います。

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《500ドットコムは現在も運営が続けられている》


スポーツくじのネット販売を行う「500ドットコム(500彩票網)」は、2011年深セン市で設立され、2013年にはナスダック市場に上場し、中国のスポーツくじ業界からは唯一のナスダック上場を果たしました。2015年6月、紫光集団という企業が124億円で「500ドットコム」の株を購入し15.2%を所有した紫光集団が「500ドットコム」の筆頭株主となったのです。


「500ドットコム」の筆頭株主となった紫光集団ですが、実は中国の名門大学・清華大学が経営する清華控股会社のグループ企業で、半導体メーカーとして知られています。つまり、紫光集団は実質的に清華大学の傘下にあるのです。清華控股会社は、中国国務院の批准を受け設立されているため、清華控股会社のグループ企業である紫光集団は実質的に国有企業ということになるのです。


とは言え、半導体メーカーである紫光集団が、スポーツくじ企業である「500ドットコム」の株を大量に購入し筆頭株主となった理由には謎が残ります。中国政府はギャンブル性のあるスポーツくじや宝くじ、タバコなどは全て国家によって支配されるべきだという思いを持っています。そのため、国有企業である紫光集団が「500ドットコム」の筆頭株主となったのではないかと考えられます。


今後も詳しい捜査が行われることになる今回の事件、日本のIR産業の利権に中国政府が大きな関心を持っていることは間違いないでしょう。中国政府の関与も疑われる今回の事件、真相が明らかになる日は来るのでしょうか。