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日本でも増える中国留学、一体なぜ

この数年、日本では内向型の若者が増え、国外へ留学を希望する若者が減っているというニュースをよく目にするようになりました。ところがその一方で、実は中国へ留学する日本人の数が大幅に増加していることをご存知でしょうか?

 

日本経済新聞(11月29日付け)は日本学生支援機構が発表したデータとして、2017年、中国へ留学した日本人の数が10年前よりも70%増加し、およそ5000人になったと報じました。留学先で見ると、アメリカ、オーストラリア、カナダに継ぐ第4位で、留学する学生全体の7.4%となっています。

 

 

さらに今年10月、東京大学HSK(中国語水平試験)という中国語の国家試験が行われました。日本最高学府でも行われるようになったこの国家試験。成績高得点者は、中国短期留学の参加者に選ばれ、留学期間中の費用を全て奨学金でまかなうことができるといいます。

 

その中国が受け入れている留学生の数を国別に見てみると、最も多いのが韓国で7.0万人。そして意外なことに、中国と経済摩擦で揉めているアメリカが2.4万人で2位につけています。

 

 

中国人の留学先として最も人気のあったアメリカ(アメリカに留学する中国人は55万人で海外留学生全体の3割以上を占めている)から、逆に多くのアメリカ人学生が中国に留学しているのは、やはり中国の経済成長によるところが大きいでしょう。アフリカから中国にやってくる留学生が急増しているのも、中国製品によるアフリカへの経済投資や、中国企業によるインフラ建設などが拡大しているからで、将来的に中国相手のビジネスを考えるアフリカ人も増加しています。

 

このように今、全世界から多くの留学生が集まる中国ですが、留学生に対する奨学金の種類が非常に多いのも特徴です。HSK奨学金の他、政府や各大学の奨学金、さらに2017年から一帯一路構想の対象地域の国々の学生に対するシルクロード奨学金という制度も始まりました。中国の大学の多くは元々ほとんどが公立であるため、専攻にもよりますが年間の学費が1万元前後(16万円)と、非常に安く、奨学金によっては生活費まで全て支給されるため、発展途上国からも多くの留学生が中国に来ることができるのです。

 

《中国政府が運営する中国語学習スクール、孔子学院でも独自の奨学金を用意するなど中国では奨学金制度が充実している》

 

 

留学生の中には、そのまま中国企業に就職する人も多くなっています。以前日本でも話題になりましたが、中国企業は日本と違い、年功序列ではなく完全実力主義で、新卒社員でも年収500万円を得られる企業が増えいることも大きな理由でしょう。中国と貿易戦争を展開しているアメリカのトランプ大統領も、孫娘に中国語を勉強されていることは有名な話です。豊富な奨学金に加え、企業による優秀な人材の囲い込みによって、今後も中国への留学生は世界規模で増えていくのではないでしょうか。